ダイレクトマーケティング課題の救急治療室

通信販売を始めとした、ダイレクトマーケティングの課題解決には、改善のため早急に適切なサポートを必要とします。その現場は、救急救命室さながらです。このコラムでは、今の通販業界の実情や、手遅れにならないためのアドバイスなど、読みながら学べるコンテンツをお届けします。

永瀬晃大朗

第6回:もし通販ダイレクトマーケターがiPhoneのランディングページを作ったら(笑)

広告代理店マンの自慢げな「たられば話」は聞く価値はないが、ダイレクトマーケティングの思考実験であれば、そこにアイデアが埋まっている!

 

広告の仕事をしている人間ならば、「もし、俺ならあのクライアントの広告、こういう風にするのに・・・」などと偉そうに、キャバクラ嬢の前や、広告業界志望な学生の前で自慢気に話すヤツを1回は見たことがあるんじゃないだろうか?

 

“思考実験”と言いたいが、多くの場合は飲み会の「たられば話」でしかない話にはロクなものはないのだが、今回はそんな“思考実験”を通じて、ダイレクトマーケティングのテクニックを利用した“売るためのランディングページ”がどういったものであるか、というのを説明してみようと思う。

 

お題は、ズバリ

 

もし、通販ダイレクトマーケターがアップルのiPhoneのランディングページを作ったら・・・www

 

何をこの思考実験の題材にしようかなと考えたのだが、健康食品や化粧品の通販を事例にランディングページの話をしていると、普段、「広告は芸術だ!」と言ってやまないエリート意識の高い広告マンたちは、「通販広告なんて、広告じゃない!」と言って見下すので、敢えて全く違う「普段ブランディング広告しかやらない」ものを“あえて”題材としてみた。

 

世界の中でも日本人が際立って愛してやまないiPhoneで少し考えてみよう。

 

 

 

 

オシャレな感性なんかじゃ、ひとはものを買わない!

 

目標は、今の広告よりiPhoneが“売れる”広告を作るということだ。

 

もし、「今のものより売れるiPhoneの広告を作りなさい。」というお題を、大学で広告/マーケティング勉強している学生や、デザインをやっている美術大学の学生、新卒の大手広告代理店の社員が考えたとしたら、メチャメチャ“シャレオツ(オシャレ)”で自分の尖った感性(だと思っている)を光らせて広告を作ろうとするだろう。

 

ただ、それではおそらく現在のiPhoneより売れない。

 

そもそも、今のiPhoneの広告は大量にお金をかけて、世界のトップクリエイターと呼ばれる一流のプロが作っているはずだ。プロとして、そんな光っているかどうかも分からない日本のそこらへんの広告マンの感性に負けたら大問題だろう。

 

まずは今のiPhone広告に関しては、ここまでブランドを作りあげ、世界に驚きと感動を与え続けてきた広告であるということは、私も認めよう。

 

だからこそ、私であれば、“あえて”今とは全く違う方法でiPhoneの広告を提案するだろう。

 

 

 

 

シナリオの基本はPASONAの法則だ

 

ではダイレクトマーケターの私が、“どうしてもiPhoneのランディングページを作らなきゃいけない場合”、どのように作るのだろうか?

 

ここからは先に私がランディングページのシナリオを考える時の基本になっている法則を紹介しよう。

 

それが、「PASONAの法則」である。この法則は有名なコンサルタントである神田昌典氏が提唱した法則で、ダイレクトマーケティングを生業にしている人間でこの法則を知らなくても、内容を聞けば、その通りというものだ(PASONAの法則に文句をいうダイレクトマーケッターがいるのであれば、そいつは新たな売れる仕組みを考えた天才か大嘘つきかのどちらかに違いないと思う。そして、99.99%大嘘つきであると私は思う)。

 

広告の世界にあるAIDMAやAISASの法則に並ぶほど重要な考え方だと私は考えている。

 

具体的には以下の流れで広告シナリオ(セールストーク)を組むことで、人は行動(=商品の申込み)に駆り立てられるという法則だ。

具体的には以下の様な流れをたどる。

 

  P:(Problem)【問題提起】

 

   「~でお困りではございませんか?」

   「~で苦労されていませんか?」

   「~は不便だと思いませんか?」など、

    顧客が潜在的に困っていることや苦労していること、不便に感じていることなどを
    明確にして問題を気づかせる。

 

 

  A:(Agitation)【炙り出し・煽る】

 

   「~で嫌になってしまいますよね」「~な時は頭に来ちゃいますよね」など

    問題を視覚的にイメージできるように描写し、
    徹底的に煽りたて商品へ関心を引くようにする。

 

 

  SO:(Solution)【解決策の提示と証拠】

 

   「そんな悩みも~なら簡単に解決できます。」「その証拠に~」など

    売っている商品やサービスが問題解決に役立つことを明記し、その証拠を示す。

 

 

  N:(Narrow down)【限定、緊急、絞込み】

 

   「でも、この商品は~の事情で、数に限りがあります」など絞込みをかける。

    いつでも申し込みできるものではない限定感をアピールし、緊急性を演出。

 

 

  A:(Action)【行動・クロージング】

 

   「今すぐ~まで申し込み(モニターに参加)ください!」など

    次の行動を呼びかける。

 

 

この「PASONAの法則」を元に作成した文章は、顧客の心理に上手く働く。

 

それでは、実際に今回の“お題”を考えてみよう!

 

 

 

 

まずはもっていない「今」の問題を提起する!

 

まずは結論からいうと、ネット広告もっというダイレクトマーケティングの世界で売るためには、下記をテーマにしたら強い。

 ●「これを使ったらモテる!」
 ●「これを使ったら悩みを解決できる!」
 ●「これを使ったらお金持ちになれる!」 

だから化粧品や健康食品はネットで売れるし、最近の怪しいw情報商材も売れるのだ。

 

だが、スマートフォンなどのハイスペックな電化製品の広告の多くは、「新たな機能、現製品比◯◯倍の✕✕」を前面に出す広告が多い。最近のスマートフォンでダンスのCMや動きのものが多いのは、恐らくクライアントがオリエン時に「カメラ機能が◯✕△■・・・・」という部分を際立たせるためだと思われる。

 

ただ、昔は最先端の機能が欲しい!というニーズがあったから、機能訴求が有効だっただけで、今の広告もそれでいいのだろうか?きっとそんなことはない。今の世間一般のひとは、もう売り込み広告にはうんざりしている。最新のハイテク家電。何がそんなに最新なのか、ハイテクなのかもよくわからなくなっているのだ。

 

だからこそ、まずは、これだけiPhoneが知られている世の中で、iPhoneを持っていないひとが、どんな問題を抱えているのかをしっかり考えてみよう。実際に私が社内でiPhoneをもっていない部下(某亀谷)に言っていることも一部含むが、普段こんなことがあるはずだ!

 

例えば、

 □iPhoneをもっていないから「仕事がはかどらない」

 □iPhoneをじゃなく、いまだに「ガラケー」を持っているから部下から「ガラケー」と言われている

 □iPhoneをもっていないから、最新のiPhoneをもっている男に彼女を取られた。

 

などなど、

多くの人が共感するであろうiPhoneをもっていないことによる「問題(Problem)」を箇条書きで提示していく。

人は機能などの売り込み広告は完全に無視する。忙しい毎日の中で、見ようと思うのは自分に当てはまると思われる言葉だけだ。

 

 

 

 

普段は表面には出さないが、ひとは自分の問題点はしっかり理解している。

さらに、もしチャンスがあれば、そこから抜け出しもっと良い人生を送りたいと思っている。

 

もっというと、

問題点に共感してくれたひとには、その欲求をしっかり炙り出して(A)あげよう。

 

このまま毎日頑張っていても、今の自分ではダメだとわかっている。何かを変えなきゃいけないというのも、ずっと思っていた。でも今までどうすれば良いのかが全くわからなかった。でも、iPhoneさえあれば、仕事も恋愛も充実して、勝ち組になれる!もう、ガラケーとは呼ばせない!たった少し携帯を変えるだけでそんな未来が待っている。。。そんな欲望が、iPhoneさえ持てば実現できる!やっぱり自分にはiPhone5が必要だ!

 

上手く問題提起(P)できれば、あとそんな期待を膨らませていく(A)流れを作れると、もうあとは信頼を勝ち得るだけである。

 

 

 

 

 

ここで初めて、具体的な解決策を提案だ!

 

だんだんiPhoneが欲しくなってきた。でも、本当にiPhoneを持てば、人生明るくなれるんだろうか?俺は変われるのだろうか?世の中美味しい話ばかりじゃないことは知っている。まだこの段階ではお客様も半信半疑の状態だ。だからこそここでiPhoneが提供する機能説明して、お客様へ人生の解決策(SO)を提案していこう。

 

安心してください。IPhoneにはこんな機能があるから、あなたはこうなれるんですよ。というのを具体的にわかりやすく説明していくだけだ。あまり専門的にはなりすぎてはいけない。読みやすいように見出しで目を引きながら、箇条書きで、具体的な根拠を明示しながらゆっくり説明していこう。

 

 

 

 

 

解決策の提示ではどれだけ人に信頼してもらうかを考えろ

 

あとはここでさらに信頼度を上げる工夫が必要だ。ここまで読んだお客様は、もうほとんどiPhoneに心が揺れている。もうひと押し誰かに進めてもらいたい。本当にみんなが使っているのかを知りたいと思っている。

 

そこで、この解決策(SO)を提示する際には、信頼性を持たせるために、“お客様の声”が効果的に利用できる。第三者の声を加えることで、より解決策提示に信頼性を与えることが重要だ。その中でも、一番効果的なのは顔写真で実名が入った“お客様の声”である。もっと言えば●●県在住など簡単な住所も加えるといい。

 

最近はヤラセも増えてきているので、お客様は企業の準備したお客様の声にも半信半疑だ。より具体的にしてあげることで、初めてレスポンスはアップする。

 

この時に一人だけでは説得力が薄いので3名程度のコメントを入れておくのがポイントだ。ただ、ここまでの情報を顧客に許可を得ることはかなりハードルが高く、交渉も難しいものとなる。しかしながら、できることなら粘り強く交渉をして、先ほど述べた情報を掲載できるようにしてもらいたい。非常に細部ではあるが、このような積み重ねでランディングページのコンバージョン率というのは大きく変わってくる。

 

 

 

 

 

『いつ買うの?』と聞いて『今でしょ!』と思わせる工夫をする。

 

私は、広告と人の関係は一期一会だと思っている。

 

たくさん広告予算があれば、人は何度もその広告を見る機会はあるかもしれない。だが、それは確率の話であって、実際は一期一会、その時が勝負。なので、その時に広告は勝負をかけるようにしないといけないというのが私の持論だ。「いつ買うの?」と聞かれて「今度の給料日」と答えさせてはいけないのだ!「いつ買うの?」では「今でしょ!」と答えさせるランディングページ“が売れる”ランディングページなのである。そのために必要なものが限定(N)という訳だ。

 

今、買わなければなくなってしまうかもしれない。今、申し込まないともう受付終了になってしまうかもしれない。そう思わせる限定を提示することで「すぐに買わなければ!」「すぐに申し込まなければ!」と思わせるのだ。そう思わせるのに最適なものが、数量限定モニターの提示である。iPhoneを買うにはお金がかかる。確かに、今の生活が変わるかもしれないが、金額が・・・という人は多いだろう。

 

そんな人に無料で期間限定アップルのスマートフォンをモニター体験することができるというキャンペーンを展開する。買おうかどうか迷っていた人であればあるほど、このモニターに申込みをするのは明らかだ。そして、実際に利用してみればiPhoneの良さが分かる。そこでデジタルなアウトバウンド(CRM上でのフォローメール)などを用いて、購入へと働きかける。確実にその場で購入する人だけではなく、購入を躊躇している人を刈り取る。数量限定モニターにはそんな魔力を持っている。

 

ここまで進めば、ある一定数はiPhoneを購入してくれるだろう。しかし、私はここで満足しない。

 

 

 

 

 

『じぇじぇじぇ!』と言わせない申込みフォームを

 

ここまでくれば、あとはPASONAの法則でいう最後の行動(A)をとらせるだけであるが、ここが実は最も厄介な関門であり、細心の注意を払わなければならない点であることを忘れてはいけない。まず、注意すべきはPASONAの法則となっているが、いつ人は行動を起こすかわからないという点。PASONAの法則は行動の流れを示しているが、中にはこの流れを経ることなく、行動へと移す人がいる。

 

そんな人のために常に行動へ移すことができるように申込みアイコンを用意することを忘れてはいけない。その申込みアイコンは目立つように配置する。ちなみに、私の会社が作るランディングページでは申込みアイコンには緑が多いがこれは、数多くA/Bテストをしてきた結果、緑色が最もコンバージョン率が高かったからである。また、申込みアイコンがプヨンプヨンとエロく動くことも、今まで数多くのA/Bテストをしてきた中でコンバージョン率が高くなることがわかって採用している方法である(その他のノウハウも余すことなく詰め込んだのが私の会社が出している、「売れるネット広告つくーる」である。金がかかるからと、あれだこれだとパクるのに時間をかけるなら、利用してもらって新しい手法を見つけてもらった方がダイレクトマーケティング業界のためにもなるのだが・・・)。

 

そして、申込みアイコンを押したした後についても、気をつけなければならない点は多い。

以前も伝えたが、最近は多くの広告主がネット広告をやる際に「ランディングページ」を制作しているが、90%以上の広告主が大きな間違いを犯している。せっかくランディングページを制作したにもかかわらず、申込みアイコンを押した瞬間から本サイトの「ショッピングカート」システムにつなげてしまっていることだ。 「せっかく本サイトのシッピングカートシステムがあるのでそれを使おう」という判断なのだろう。

 

ただしはっきり言おう。 ズバリ、ショッピングカートはランディングページとの相性がものすごく悪い!もう、最悪だ!!

 

何が最悪かというと、日本の平均的なショッピングカートはランディングページから申込み完了までに、平均で“8つ”のページを遷移があるということ だ。つまり、せっかくお客がランディングページでその商品に興味を抱いたのに、クソ面倒くさい“8つ”のページを遷移しないと申込みを完了することができないので、「じぇじぇじぇ!!」と驚き離れてってしまう。

 

つまりは、申込み完了までに遷移するページが多いと何が起きるかというと、せっかく広告とランディングページで商品の申込み意欲を高めたお客さまが、商品に対して急激に冷めていく。そしてページ遷移が進むたびにバケツの穴から水が漏れるように、どんどんお客さまが離脱していってしまい、誰も申込み完了ページまでたどり着かないのだ。

 

 

 

 

もし通販ダイレクトマーケターがアップルiPhoneのランディングページを作ったらこうなる!

 

上記のダイレクトマーケティングにおける法則やテクニックをフル活用して、作ったiPhoneのランディングページはこれだ!!!!!

 

このURLを“クリック”してぜひランディングページ見てほしい!

     ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

http://www.ureru.co.jp/aplle/index-a.html

 

・・・。

このランディングページを見て、「レオさんふざけてるでしょ?」と思われる方も多いだろう。

 

ハイ、“超ふざけて”ます!w

わざと言葉や写真を“オーバー”にしています!w

わざとめちゃくちゃ“散臭く”しております!w

 

ここまで“極端”にダイレクトマーケティングの法則を“大袈裟”に表現した方が面白い…

イヤ、わかりやすいと思って♪

 

 

 

もし、私がアップルの社長だったら・・・

 

 

さて、以上のような思考実験でできた「通販ダイレクトマーケターがiPhoneのランディングページを作ったら」企画。私がマジメにランディングページを作れば、コンバージョン率はそこそこ数値を叩きだすし、スマートフォン業界に新しい動きを生むことは確実だ。

 

でも、もし、私がアップルの社長だったら・・・、このランディングページは絶対に採用しない!!!(笑)

 

なぜなら、アップルのiPhoneは競合他社に比べ圧倒的な機能的な優位性だけでなく、圧倒的なブランドイメージも持っているからだ。

 

恐らく、スマートフォンという言葉の第一想起はアップルであることは間違いない。そんな状況であればまず、することはブランドの維持以外にはありえない。そんな中でこのような売れるランディングページは既存のブランドと矛盾を生じてしまうはずだ。信者も多いアップルであるから、三行半を突きつけられる可能性も否定出来ない。そんな危ない橋をわたる判断をするのはただのバカだ。

 

私がアップルの社長だったらこんなランディングページをOKした担当者に「You are fired!」と叫んで終わりにするだろう。

 

今回のようなランディングページが必要なのは、新規参入や既存市場において大きなシェアを獲得できていないクライアントや、どうしても(ブランドは二の次で、)更に顧客を増やしたいと思う時に採用する施策である。全ての企業や商品に採用すべき施策であると私は考えていない。

 

よく私がマス広告やブランド広告をバカにしていると誤解している人がいるが、それは間違いだ。ブランド広告は非常に重要な広告施策であるし、ダイレクトマーケティングにおいてもTVのマス広告は非常に効果的な手段だと考えている。

 

しかし、全ての会社がそれを実施するほどの潤沢な予算を持っているわけではない。もっというと世の中の99%の会社が中小企業なのだ。そういった予算が限られたクライアントには、特に通販会社には、効果的なのがネット広告であり、ダイレクトマーケティングであり、このようなランディングページであると訴えているのである。

 

今回は思考実験ということで考えてみたが、私がiPhoneのランディングページ制作を頼まれたら当社はアップルの今の状況を鑑みて、絶対にお受けしない。大手広告代理店さんのスタークリエイターにお願いしてシャレオツなランディングページを作ってもらうのが最も良い方法だと思う。

 

それか、イチかバチかで、私のキラメク感性で制作した、ブランディングに特化した、ナウいヤングなランディングページにかけてみるのも悪くないかもしれないねwww

 

 

以上

皆さんもいろんな商品で思考実験をしてますか?
売れるランディングページを作る練習をしてますか?
ぜひブログやFacebookやTwitterなどでご意見をお聞かせくださいw

 

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