博報堂生活綜研、北京の消費者の「消費と欲求」について調査

博報堂生活綜研(上海)は、中国伝媒大学広告学院と共同研究を行い、三回目となる研究成果を12月7日、北京において「生活者動察2015」として発表した。中国の生活者の新しい消費行動に対して「出格消費」※というキーワードを提言、今後のマーケティングのあり方についての示唆も行った。
今回の発表会は中国や日本の企業のマーケティング担当者や経営層、マスコミ各社など、200名を超える方々を対象に実施、発表は博報堂生活綜研(上海)の鐘鳴首席研究員が行った。

※「出格」(しゅっかく)原意-(中国語)抜群である、ずば抜けている。常軌を逸する、並外れている。(日本語)格式からはみ出すこと。破格。

今年のテーマは「中国の新しい消費の景色」。中国経済の懸念をよそに生活者の消費意欲は堅調。一方で急速な経済成長、グローバル化、デジタル化を背景に、「人の価値観」や「憧れのライフスタイル」が多様化し、消費トレンドが大きく変貌している。そこに、画一的な理想像や固定的な価値観にとらわれず、新しく出現し続けるモノ・サービスの消費を享受する新たな生活者の姿が見えてきた。

そうした、「消費を通じて、これまでと同じ生活や視野という枠を拡げ、自由を楽しむ行動」に「出格消費」というキーワードをつけた。

「出格消費」は大きく3つの消費行動の変化が見られる。

1.消費プロセスにおける力点」が、「所有」から「発見・体験」に広がる

-モノ・サービスの価値が「それ自体」から、モノ・サービスにどのように出会うか、所有したものをどのように楽しむかも重視

2.「消費対象の基準」が、「適合性」から「触発性」に変化

-自らの枠を超えて拡張したい「出格消費」では「自分と合わない」という要素が、自らを触発する価値となりうる

3.「消費によって得たいもの」が、「達成感」から「成長感」に変化

-モノ・サービスによって、自分の視野や生活がどのように変化したのか、成長したのかを実感したい

従来は、皆が憧れる理想の生活のイメージや情報を提供し、それを手に入れる達成感を味わってもらうようなマーケティングが有効だった。しかし「出格消費」においては、生活者が新たなものを求めて枠の外に出て行こうとする行動に着目し、新しい領域の楽しみや成長の要素を提供することでその行動を後押しするマーケティング、という視点が重要になっていくと考え、この「出格消費」という捉え方で、生活者の欲求を刺激することで、消費意欲が拡大する可能性が高いと考えている。