ダイレクトマーケティング課題の救急治療室
通信販売を始めとした、ダイレクトマーケティングの課題解決には、改善のため早急に適切なサポートを必要とします。その現場は、救急救命室さながらです。このコラムでは、今の通販業界の実情や、手遅れにならないためのアドバイスなど、読みながら学べるコンテンツをお届けします。

オフライン広告を当てていくためのコツについて
この数年、これまでデジタル広告のみだった企業が、オフライン広告に進出している事例が増えています。
その一方で、オフライン広告のあたりパターンの創出に悩んでいる企業も多く見受けられています。
そこで今回は、デジタル広告とオフライン広告の両方を効果的に活用するためのポイントや戦略について解説していきたいと思います。
まずは、上記のようなデジタル広告をメインで行ってきた企業がオフラインにも進出している背景について少し説明いたします。
オフラインに“も”進出する理由は「デジタルの飽和と疲弊」
デジタル広告の疲弊の理由としては行政による指導が増加していることが挙げられます。
監視が定期的に行われるようになり、以前よりも厳しくなりました。
そのため、これまでのあたりパターンと思われていたものが通用しなくなってきており、以前までのような強い表示ができなくなってきたからです。
また、アフィリエイト広告が、広告主の責任という形で法改正されたこともあります。
これは非常に良い改正だと私は思います。これまでは、広告主が言い逃れをして責任を回避することで、強い表現の広告が広まってしまう状況がありました。
とはいえ、この変化により、デジタル広告のみだった企業の広告の効率が悪くなり、頭打ちの状況が出てきたことも一つの背景としてあると考えられます。
企業はこのような状況下で広告を回していこうとなると、そこそこ効率が良い広告を広く行っていくという考えとなり、結果としてオフライン広告に取り組む企業が増えていると思われます。
少なくとも、マジワンにご相談いただいく企業においては、このような背景からオフライン広告に関するご相談が多く寄せられています。
失敗しないテストをするためには?
まず、デジタル広告とオフライン広告の類似点と相違点をご説明します。
類似点は、説得のフローでPASONAを用いてしっかり説得の流れを作る点と言えます。
この点では、基本となるストーリーの作り方は同様と言えます。
一方で、相違点は、PASONAの切り出し方と表現技法と情報量の制限となります。
デジタルは動画的手法を用いることができるだけでなく、
1回1回の広告における情報量に媒体社からの制限はありません。
一方でオフライン広告の場合は紙面・チラシサイズ、インフォマーシャルにおける「枠(秒数)」という物理的な制限が存在します。
そのため、広告を制作する際には、テキスト・画像・動画それぞれの良いところを理解する幅広い知識と、デジタル・オフライン広告それぞれに適した内容でアウトプットできる柔軟性が求められます。
それだけでなく、クッションページなどの流入経路の変化によって、ランディングページのPASONAの切り出し方が異なってきます。
詳しく知りたい方はこちらの記事で説明していますので、ご確認ください。
このような違いから、オフライン広告の中でもチラシなど新聞メディアにおいては、とりわけテキストや文章に重点が置かれがちです。
スマホで比較するとよく分かるように、スマホ1画面に入る文章量は200〜300文字程度ですが、新聞やチラシを広げたときの文字量は何千文字にもなります。
つまり、視野の違いが大きく、広告の接し方としても変わってくるのです。
もちろん、先ほど“動画などの”と言ったように、オフラインもインフォマーシャルにして映像で見せる、ラジオにして聴く形の広告にするなどもできますが、情報の出し方としては制約があります。しかし、デジタルにはその制約がほとんど存在しないため、いろいろなアプローチができることが大きな違いです。
これらのことを踏まえ、類似点と相違点を理解しながら、オフライン広告を当てていくために何が必要か?を考えていきます。
デジタル企業がオフライン成功のためにすべきこと
デジタル広告に慣れ親しんだ企業がオフライン広告の制作に踏み込む際、よく課題として挙げられるのは「長く丁寧に説明を行うテスト」ができないことです。
近年、よく使われている「クッションページ」を用いたアプローチでは、テキストと画像の組み合わせでシンプルなパンチライン[短期的な説得]を何度も繰り返すような手法が多く見られます。
このようなアプローチはSNSにおける広告における投稿テキストとバナー画像でのビジュアルとテキストでの説得を繰り返す手法に似ています。
オフライン広告が丁寧な説得を行うのに対し、デジタル広告は小さな説得の積み重ねに特化して来たとも言えますね。
この「クッションページ」におけるアプローチと、投稿テキストとバナー画像でのビジュアルとテキストでの説得を繰り返すアプローチ。
この2つの特徴を組み合わせてデジタル広告のテストをオフライン広告に活かす方法として、私が用いている方法を解説したいと思います。
テスト方法の考え方
テキストをPASONAにあわせて作成し、バナー広告においてテストしていきます。テスト媒体はSNSです。広告のクリックも計測できる点を活用していきます。
シンプルなパンチライン[短期的な説得]を数十本作成、並べて比較しながら、新聞5段広告の制作をしていく、というのが基本の考え方になります。
5段広告の作り方
1.メタなどのバナーテストで一般的な1ビジュアル1メッセージ型のバナーを作成します。
ここでは新聞において、トップキャッチになりえるテキストラッシュを行いテストを実施します。
50本以上をテストして、その中から良いものを5〜10本程度まで絞ります。
2.再度繰り返し、5〜10本をもう1回出す。このテストによって比較的整理されたコピーができます。
3.上記のコピーをPASONA順に当ったものから並べることで、
中吊りタイプの5段広告が完成します。
5段広告はこのような方法で作ることができます。
Webで培ってきたバナーのキャッチコピー集を5段広告にうまく流用することで、強いコピーのままテストができ、かつ、これが当たりパターンになることで新商品にも再現性が高いのがポイントです。
メディアによってはMetaなどを使い年齢制限も入れることで、ターゲットを絞り込みながら効率を上げることもできます。
過去の事例において、あまり良くないコピーでもオフラインでは当たることがあるため、バナーテストを信じすぎないことも重要ですが、ある程度は絞り込めることがポイントです。
同様にビジュアルもテストをすることで、再現性の高いテストができると思われます。
現状では、このようなバナー的アプローチが再現性において一番高いと思います。
今後はクッションページをうまく流用する方法や、どの動画を使うと良いかなどが出てくるでしょう。
理由としては、化粧品などのテクスチャー[質感]においては、トロトロとしていたり、サラサラとしているなど感覚的な表現が重要となります。
その場合は、文字だけでは説明できず、商品によってはその質感だけを見せるだけの広告もあるほどです。
こういったケースでは、静止画としての表現も合わせてテストを行い、そのあたりパターンをレイアウトに落とし込んでいく方法もあります。
今回は一例として、わかりやすい事例から5段広告に反映するパターンを解説させていただきました。
オフラインは広告だけではない
最後に、オフラインを成功させていくために、重要なもう一つのポイントをお伝えします。
それは広告的な部分だけではなく、デジタル広告が近年、LPOだけでなく、チャットボットやクロージング後の引き上げなどがあったように、オフラインにおいても、コールセンターのトークスキルであったり、ハガキを含めクレジットの言い回しであったり、それ以外にも企業のブランドをどのように見せるかなど、様々なノウハウが複合しているのです。
そのため、今回ご紹介をさせていただいた広告バナーだけのテストが最善とは思いませんが、複合した要素をいかにノウハウとして蓄積して、しっかり因数分解して考えられるかに紐づいてくると思います。
ぜひ一度、デジタルのチームがありつつオフラインを考えている企業様は、このような事を試していただければと思います。
もちろん、当方でも常にサポートを行っておりますので、いつでもご相談ください。