総務省の「制作会社への不当な取引防止ガイドライン」に民放連がコメント。放送事業者の信用を著しく傷つけるものであり、誠に遺憾。
総務省は2月に「放送コンテンツ製作取引適正化に関するガイドライン」を公表した。
このガイドラインは制作会社の創意工夫の意欲を削ぐような取引慣行の改善、及び番組製作に携わる業界全体の向上を目的として、策定。
広告主の広告費削減と視聴者のテレビ離れで低迷が続くテレビ局による、いわゆる下請けへのしわ寄せを防止するガイドラインとなる。
この中で問題となりうる事例として、以下のような例をあげている。
「放送局の子会社の製作会社から再委託を受けた製作会社(孫請業者)が、発注書交付を要求したところ、「子会社なので下請法の対象外」と言われ、発注書の交付を拒否された。」
「発注の時点では書面が交付されず、放送後に送付される。発注書に金額の記載がなく、その後補充書面も送付されない。」
「毎年製作を請け負っていた番組について、経費節減のため、同じ取材日数・スタッフ等が必要な内容にもかかわらず、一方的に製作費を減額された。」
「発注書、契約書の範囲を超えて、当初記載がなかった業務について、局から追加発注されるが、製作費は当初予定額同様であり、業務内容だけが増加する。」
総務省によれば、「ガイドラインは、総務省において実施した関係事業者に対する番組製作取引実態に係るヒアリング調査等を踏まえて策定したものである。ガイドライン中で取り上げている取引事例は本調査結果を基にしたものである。」として、放送番組製作会社29 社、放送事業者(地上テレビジョン放送事業者)19 社を調査の対象としている。
こうしたガイドラインの発表と新聞報道に対し民放連は、コメントを発表。
このガイドラインの“問題となり得る事例”は、あくまでも下請法等の観点から、問題となり得る事例・行為を列挙したものであり、これまでこのような事例・行為が常態であったかのような印象を与える2月22日付朝日新聞等、悪意ある報道については、放送事業者の信用を著しく傷つけるものであり、誠に遺憾、としている。
民放各社ではこれまでも、番組制作委託取引に関する自主基準などを定めるなどの自助努力をしており、総務省からのガイドライン発表後はガイドライン周知徹底の説明会などを開催している。