インプレスHD、5億8,100万円の純損失 主要事業は堅調も事業譲渡に伴う税負担が発生 平成23年3月期第3四半期決算

株式会社インプレスホールディングスは、平成23年3月期第3四半期決算を発表した。

<平成23年3月期第3四半期の連結業績>
(平成22年4月1日~平成22年12月31日)
売上高:127億円(前年同期比 3.7%減)
営業利益:10億3,600万円
経常利益:9億6,500万円(同 898.6%増)
四半期純利益:▲5億8,100万円

書籍販売及びデジタル広告収入などが好調に推移し、主要事業は増収となりましたが、事業譲渡及び事業構造改革による不採算事業の整理などに伴う売上高の減少により、連結売上高は前年同期を下回る結果となった。営業利益では、事業譲渡に伴う利益の減少があったが、不採算事業の縮小・撤退、主要事業の増収およびコスト圧縮による収益性の改善により、前年同期に比べて9億4,400万円の利益増加となり、経常利益も前年同期に比べて8億6,800万円増加となっている。特別損益項目では、事業譲渡および投資有価証券の売却などにより2億1,900万円(前年同期は6億5,300万円)の特別利益を計上したものの、資産除去債務に関する会計基準の適用および事業構造改革の実施等に伴い、1億5,100万円(前年同期1億900万円)の特別損失を計上している。
なお、四半期純損益では、事業譲渡に伴う税負担の発生などにより、法人税などを15億7,100万円(前年同期は3億4,200万円)計上したことなどが影響し、前年同期に比べて8億4,300万円利益が減少し、四半期純損失となった。

セグメント別の業績は以下のとおり

<IT>
売上高:45億3,000万円(前年同期比 4.3%増)
セグメント利益:3億9,500万円(前年同期は900万円の利益)

■メディア事業
売上高:34億6,700万円(前年同期比 2.9%増)

デジタルメディアでは、主力のデジタル総合ニュースサービス「Impress Watch」の広告収入が好調に推移したことに加え、事業開発中の新規媒体の広告収入の増加や、テクノロジー、メディア等をテーマとした調査報告書等の販売増により、増収となった。
出版メディアでは、雑誌・ムックの大型の季節商品である年賀状関連ムックの出荷規模は拡大したが、ムックの新刊タイトルの減少や雑誌販売及び広告収入の減少により、減収となった。書籍は、パソコン入門書などの出荷が減少したが、スマートフォン端末・Android関連などをテーマとした書籍を中心に刊行タイトルを増加し、販売も好調に推移したことなどにより、増収となった。
ターゲットメディアでは、登録顧客向けのメディア事業が主な事業内容であり、広告収入が収益の中心となっている。エンタープライズIT専門誌「IT Leaders」において、読者データベースを用いたターゲットマーケティングサービスが堅調に推移したが、広告収入の減少により若干の減収となった。

■サービス事業
売上高:10億6,300万円(前年同期比 9.1%増)

サービス事業は、PCソフトおよびソフトウエアのライセンス販売などのECと、クライアントからの受託による販促物などの制作およびその周辺サービスが中心。また、前第3四半期連結会計期間より、国内メーカーの中国市場向けのプロモーションツールの制作およびマーケティング支援事業を行う中国現地法人「英普麗斯(北京)科技有限公司」を連結の範囲に加えている。当第3四半期連結累計期間では、中国市場向けのプロモーションツールの制作受託が堅調に推移し、増収となった。

<音楽>
■メディア事業
売上高:18億8,100万円(前年同期比 2.0%増)
セグメント利益:1億5,400万円(前年同期比 15.1%増)

雑誌・ムックは、ムックの新刊タイトルが増加したものの、雑誌販売および広告収入が低迷したことによって減収となり、DVDなどの映像商品についても、事業縮小の影響などによって減収となった。一方、書籍は、順調な新刊の刊行に加え、フェア出荷などをはじめとして既刊書籍の販売も好調に推移し、増収となった。また、楽器購入者向けの購買支援サイト「楽器探そう!デジマート」における楽器店からの登録料収入なども堅調に推移した。

<デザイン>
■メディア事業
売上高:6億5,100万円(前年同期比 19.7%減)
セグメント利益:1,800万円(前年同期は1,700万円の損失)

書籍は、デザインパーツ・素材関連書籍等の既刊書籍の出荷が減少したものの、順調な新刊の刊行により堅調な販売状況となった。一方、雑誌・ムックは、不採算誌の休刊および新刊タイトルの減少などにより、販売および広告収入が減少し、大幅な減収となった。

<医療>
事業譲渡の実行により、当第3四半期連結会計期間中において、医療セグメントの事業は「連結子会社が営む事業」から「持分法適用関連会社が営む事業」へと位置付けが変更となった。同事業譲渡の影響などにより、第3四半期連結累計期間における同セグメントの売上高は、前年同期(34億7,400万円)に比べ、5億1,900万円減少し、29億5,400万円となった。事業譲渡後の持分法投資損失(1,600万円)を含むセグメント利益では、前年同期(3億9,000万円)に比べ、3,200万円利益が減少し、3億5,700万円となった。

<山岳・自然>
■メディア事業
売上高:17億8,900万円(前年同期比 7.7%増)
セグメント利益:3億4,000万円(前年同期比 129.5%増)

雑誌・ムックは、月刊誌「山と溪谷」を中心に堅調な販売となったが、ムックの刊行タイトルの減少に伴う販売および広告収入の減少により、減収となった。また、大型の季節商品であるカレンダーは前年同期並みの出荷規模となったが、書籍については、図鑑・登山ガイド・文庫等のシリーズ刊行によって新刊タイトルが増加し、販売が堅調に推移したことにより、増収となった。加えて、株式会社集英社との協同編集によって創刊された「週刊ふるさと百名山」シリーズの制作受託により、受託売上が増収となった。また、平成22年4月に登山情報サイト「Yamakei Online」をスタートし、デジタルサービスの開発に取組んでいる。

<モバイルサービス>
売上高:5億6,000万円(前年同期比 3.2%増)
セグメント利益:▲1,500万円(前年同期は4,400万円の損失)

当連結会計年度よりセグメントの区分に追加されたモバイルサービスセグメントは、モバイル端末向けのコンテンツ制作、配信ソリューションおよび関連サービスの提供が中心となる。デジタルコミックの制作受託収入などが減少したが、携帯電話向けサービスの会員課金収入およびデジタルコミック配信サイトの運営受託収入が増収となった。

<その他>
事業構造改革に伴う不採算事業の撤退の影響により、売上高は前年同期(5億9,900万円)比39.6%減の3億6,100万円となった。一方、セグメント利益では、不採算事業の撤退に伴う固定費などのコスト削減により、前年同期(2億3,900万円の損失)に比べ2億2,400万円損失が減少し、1,400万円の損失となった。