博報堂 生活総合研究所、未来予測『生活動力2011』公開 調査12年目ではじめて肯定的な生活像に

株式会社博報堂の生活総合研究所は12月1日に、日本型成熟モデルについて考察した文書『生活動力2011 動の成熟~楽しさ先進国をめざして~』を公開した。

同研究所では毎年、年末から年初にかけ「生活動力」と名付けた未来予測を発表しており、『生活動力2011』はその最新刊となる。長かった不況の落ち込みがようやく止まり、楽観的でも悲観的でもなく冷静に現状を捉えながら、能動的に生活を変革させる新しい生活像を「動の成熟」ととらえ、その背景と原動力、方向性について報告したものとなっている。調査対象は首都40km圏、阪神30km圏の20~69歳の男女で、今年は3000名以上から回答を得た。

それによると、経済から生活全般へ拡大する多種多様なマクロ不安により落ち込み続けていた生活者の気分が、ついに下げ止まったとのこと。日本の行く末に関して「悪くなる」という回答を見ると、 「日本人の方向」「世の行く末」「今後の暮らし向き」のいずれも、1998年(消費税アップ、金融機関破綻)と2008年(サブプライムローン、原油高騰)に2つのピークを作ったが、2008年から2010年にかけて、「悪くなる」が大きく減少し、長らく減り続けていた「自分の将来イメージ:明るい」も同様に、ついに下げ止まりとなった。

そして、「習慣やしきたりに従うのは当然だと思う」人は50%に迫る勢いで伸びる一方、「学校の知識は社会で役立たないことが多い」と思う人は減り、むしろ「学歴を信じる」というコツコツ型の学びを支持する人が増加中。「日本の誇れること」では、「国民の勤勉さ・才能」「国民の人情味」「国民の義理がたさ」「質の高いサービス」がいずれもほぼ2002年から上昇し日本人の力の見直しが進んでいることが、あきらかとなった。また技術を活かしたモノやサービス、システムをおのおのが自在に取り入れ、暮らしを進化させている「理系生活」、一人1人が主体的に動き、人と関わり合うことで、安心できる社会基盤を作ろうとする「ソーシャリング」も、より広い範囲で肯定的に広まっている。

そして1998年の質問開始以降、身の回りの生活に「いやなこと・腹のたつことが多い」と感じる人の割合は、「楽しいことが多い」と思う割合をずっと上回っていたが、2010年はその関係が逆転。初めて「楽しいことが多い」が「いやなこと・腹のたつことが多い」を抜いたとのこと。「よろこばしいことが多い」もじわじわと上昇を続け、2010年に過去最高を記録。「悲しいことが多い」は2008年から2010年にかけて減少し、過去最低となった。

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