【特集】設立から約2カ月でGroupon社傘下となった「Qpod(クーポッド)」~その経緯とこれから

広告ニュースでは、今春以降盛り上がりを見せているクーポン共同購入サイトについて、株式会社ぱどの「CooPa(クーパ)」、そして株式会社リクルートの「pomparade(ポンパレード)」を取材し、紹介してきた。今回は、8月半ばに第三者割当増資によって、アメリカのGroupon(グルーポン)社傘下となった「Qpod(クーポッド)」を運営する株式会社クーポッドをご紹介したい。

「Qpod(クーポッド)」はサービス開始から約2週に渡り、JR山手線の1編成すべてをジャックした交通広告を打ったので、記憶にあるという読者もいるかもしれない。公式Twitterのフォロワーは、8月3日現在で1万2000人を超えており、7月の月間売上は同業他社を抜き首位(同社調べ)。サービス開始初月から急成長をみせた同社はどのような経緯でGroupon社グループに入ることになったのか。また、Groupon社グループとなることでサービスはどのように変わっていくのか。同社 代表取締役CEO 瀬戸恵介氏にお話を伺った。


株式会社クーポッド 代表取締役CEO 瀬戸恵介氏

■「Qpod(クーポッド)」設立の経緯と人気の理由
同社は、モバイル・インターネットでのコンテンツ事業やダイレクトセールス事業を手がける株式会社パクレゼルヴと、ベンチャーキャピタルファンドに情報提供などの役務を行うインフィニティ・ベンチャーズLLPの共同支援により、6月28日に設立。パクレゼルヴの関連会社として、7月2日にサービスを開始し、8月30日現在、全国10都市でサービス展開している。

「クーポン共同購入型のサイトが日本に初めて登場したのは今年4月で、今ではもう40サイトとも50サイトとも言われています。その中で、7月2日のサービスインというのは後発ではあるのですが、月間の売上も、1日の単体クーポン販売枚数も、Twitterのフォロワー数も、すべてにおいて初月からナンバー1になることができました」(瀬戸氏)

サービス開始初月からこれだけの成果を出せた理由、そして人気の秘密について、同氏は、毎日、日替わりで新しいクーポンを販売している点にあるのではないかと言う。

「弊社が他社と明らかに違うのは“ワンデイワンクーポン”を実現していることです。他社の場合、1つのクーポンを3~4日間かけて販売していますが、弊社は日替わりで、毎日新しいクーポンを販売しています。今日はなんだろうというワクワク感は、ユーザーがサイトを見に来てくれる大事な要素だと考えています」(瀬戸氏)

また、いかに魅力的なサービス・店舗を紹介できるかという点にも注力しているという。

「ディスカウントというのはあくまでもきっかけに過ぎなくて、サービスであれば体験してすごく感動したとか、飲食であれば食べてすごく美味しかったなど、“これは正規の料金を払ってもまた来たい”と思ってもらえるようでなければいけないと考えています。このビジネスは、クーポンを買ってもらって終わりではなくて、店舗へ行って体験してもらって初めて完結します。そういう意味でも、いかに感動してもらえるか、そして、次は何をやるのだろうという期待をもってサイトを見に来てもらいたいと考えています」(瀬戸氏)

■設立からわずか2カ月でGroupon社傘下へ
アメリカのGroupon社は、2008年11月に創業。1年で約350億円を売り上げたとも言われるクーポン共同購入サイトの最大手で、日本の同業のお手本と言われている。そのGroupon社が同社の株式の過半を取得するというニュースは、新聞にも取り上げられて話題となった。どのような経緯を経て、同社はGroupon社傘下に入ることになったのだろうか。

「Groupon社は世界約30カ国、約200都市で、すでにサービスを展開していて、日本への進出も検討していたようです。6月以降何度か日本に視察に来ており、弊社も含めた何社かと話をしたようです。その結果、最終的にパートナーとして弊社を選んだということです。Groupon社のCEO曰く『非常に考え方が似ている』と。サービスに対しての考え方やスピード感といった部分に共感し、支持していただいたのだと考えています」(瀬戸氏)

新聞などの報道によれば、随時、Grouponブランドへ移行していくとあるが、時期や名称については決まっていないという。

「Grouponブランドへの移行は来週かもしれないし、1カ月後かもしれない。サイト名についても『Qpod(クーポッド)』という名前をなくしてしまうのか、残すのかという部分も含めて、これから詰めていくという状況です」(瀬戸氏)

しかし、Groupon社がこの1年半で蓄積したノウハウを共有できることは、同社にとって大きな財産になる、という。

「サービスの基本的な部分が大きく変わることはありません。しかし、本来であれば、自分たちで失敗や成功を繰り返して経験しなければ得られないノウハウが事前に共有できるのですから、サービスにも反映していきたいと考えています。改善すべき点を、すぐに反映できるのがITビジネスのいいところですし、よりよいサービスを提供するために変えるべきところはどんどん変えていくことが大切だと思っています。期待してください」(瀬戸氏)

■9月に入り、ジャンルに特化した専門サイトも参戦
日本版グルーポン系サイトが登場してからわずか4カ月で、本家であるアメリカのGroupon社が日本へ進出するという急展開をみせたクーポン共同購入ビジネス。9月に入ってからは「食べログ」や「一休.com」などの専門サイトもグルーポン系サービスの本格導入へと動き出した。新興するベンチャー、既存メディアの基盤を活かそうとする大手や専門サイト、そしてアメリカのGroupon社。各社入り乱れての市場争いは、今始まったばかり。広告ニュースでは、グルーポン系サイトの今後にも注目していきたい。