広告主は、広告の効果やコストに対する意識を一層高めていくことが求められる 公正取引委員会が広告業界の取引実態調査

公正取引委員会は9月1日、広告業界の取引実態に関するフォローアップ調査報告書を発表した。平成17年11月に公表された前回調査のフォローアップ調査と、急激な拡大を続けるインターネット広告にテレビ広告と同様な競争阻害的な取引慣行が出現していないかどうか調査することで、競争政策上の観点から改善点を明らかにする目的。

本調査ではまず、広告業界の構造として、以下2点を挙げている。

・媒体社が広告会社へ報酬を支払うコミッション方式が中心
・有力が広告会社と中小規模の広告会社に二極化している

また、広告業界の取引慣行の特長としては、広告主のコストに対する意識面についても触れ、後の結論においても広告コストに対する効果への意識を高めるよう呼びかけている。

・テレビ広告取引において、広告会社の新規参入が非常に困難
 1)有力な広告会社がCM枠の大部分を確保している
 2)テレビ局による情報開示が少ない
・テレビ広告(スポットCM)取引において、広告会社の報酬格差は最大20%あり、最低限の基本報酬しか得られない中小規模の広告会社は、価格競争で不利である。
・広告の効果やコストに関する広告主の意識は必ずしも高くない。

テレビ広告の価格開示については平成17年から積極的な改善は見られず、またスポットCM取引におけるキー局5社からの特別報酬率の差は縮小しているものの、基本報酬と特別報酬を合わせた差は18%となっている。

一方で、インターネット広告の取引慣行においては、上記のような問題は概ね少ないと報告している。

広告主の意識に関する調査では、広告効果の評価・コスト意識の改善を挙げており、前回調査で公正取引委員会から指摘した広告主の広告効果や、広告コストに対する意識を高める取り組みのうち、成果を上げられなかった広告会社の変更などについて、広告主が積極的に取り組んでいる傾向が見られたとしている。

今後、広告会社の新規参入が活発になるよう、広告主は広告の効果やコストに対する意識を一層高めていくことが求められるとしている。

[お詫びと訂正]
本記事に関して、タイトルが不適切とのご指摘を複数頂きました。
原文に記載の内容を再確認し、お詫びするとともに、本記事のタイトルを修正させて頂きす。
修正前:
「広告主の広告効果への意識高くない 公正取引委員会が広告業界の取引実態調査」
修正後:
「広告主は、広告の効果やコストに対する意識を一層高めていくことが求められる 公正取引委員会が広告業界の取引実態調査」

■関連リンク
広告業界の取引実態に関するフォローアップ調査報告書(概要)
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.september/100901.pdf