「愛・地球博」PRの日本飛行船、事業停止 自己破産申請へ

株式会社日本飛行船は、5月31日までに事業を停止し、自己破産を前提とした債務整理を進める意向であることが、帝国データバンクの発表で明らかになった。同社は、2002年3月に万国博覧会「愛・地球博」(2005年3月開催)のPRやその後の飛行船を利用した広告宣伝業を目的に設立。2003年には約10億円を投じて「ツェッペリンNT号」を購入し、日本郵船の連結子会社となった。2007年には遊覧飛行も開始したが、維持費などの諸経費がかさみ、創業以来の赤字決算は解消されず債務超過状態となっていた。その後、日本郵船が保有する全株式および「ツェッペリンNT号」を都内の海運会社に売却。2009年には都内の内装工事業者が出資して筆頭株主になるなど、資本環境はめまぐるしく変化していた。
今年4月からは、東京・晴海ふ頭を離発場とした遊覧クルーズの宣伝を大々的に行っていたが、3月末と4月末の支払いが遅延する事態が表面化。都内の企業がスポンサーとなるべく交渉を進めてきたが奏功せず、5月末の支払いが困難となり、今回の事態となった。
負債は債権者240名に対し、約14億円が見込まれる。