2008年の広告代理店倒産件数91件、破産相次ぐ広告業界(下)
帝国データバンクによれば、2008年の広告関連業者の倒産件数は206件。
しかしそれはリーマンショック以降の不況による影響だけではなかった。
2001年から7年間の倒産件数推移はほぼ一貫して上昇、それに不況が追い討ちをかける、より深刻な現状だった。
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大手・小規模広告関連業者の二極化が進む。
2008年に倒産した206件の倒産態様別分類では、「破産」が198件で構成比96.1%。
「民事再生法」は5件で2.4%に留まっており、かつ5件全てが制作会社。
つまり、広告代理店は全てが「破産」となっている。
倒産業種別では広告代理業がトップ。
2008年に倒産した206件の業種別件数は、広告代理業が91件で全体の44.2%と半分近くを占める。
一方で、制作の受注減や制作費の過剰な絞込みなどで話題になる広告制作会社の倒産件数は77件で37.4%にとどまる。
帝国データバンクは、“広告代理業界は大手広告代理店への寡占・集中が顕著で、特にテレビや新聞をはじめとしたマス媒体の広告スペースを確保するにはそれなりの経営体力が必要となってくる。そのため大手の小規模業者の間での二極化が進み「民事再生法」より「破産」を選択せざるを得ない小規模業者の倒産が多くなっているものと考えられる。”
と伝えている。
7割が負債1億円未満。
実際に、負債額別の件数を見てみると、7割にあたる153件が1億円未満の倒産となっており、小規模業者の倒産が圧倒的に多い。
逆に、負債額50億円を超える大型の倒産は全て2004年以前に起こっている。
2004年の株式会社パブリックセンター(広告代理店)の77億円、2001年の中央広告通信株式会社(広告代理店)の65億円、2003年の協和広告株式会社(広告代理店)の65億円、同じく2002年の株式会社芝浜企画(広告代理店)の60億円、2002年の株式会社三幸社(広告代理店)の56億円。
今後、不況が続けば倒産の波は小規模代理店から、中規模の広告代理店まで波及する可能性もある。
一方で、テレビ、新聞、雑誌、ラジオなどマス媒体の売上が継続して落ち続ける中でも業績を伸ばしている企業もある。
フリーペーパーの地元新聞社(記事:http://www.findstar.co.jp/news/syosai.php?s=001363)、テレビ通販の広告代理店トライステージ(記事:http://www.findstar.co.jp/news/syosai.php?s=001272)など。
また、サイバーエージェントがイベント業に参入(記事:http://www.findstar.co.jp/news/syosai.php?s=001289)するなど異業種参入も相次く一方で、協同広告のように買収される老舗広告代理店も出ている(記事:http://www.findstar.co.jp/news/syosai.php?s=001470)。
決算発表が続く5月、広告業界から目が離せない。
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