DRM研究所、「2015年の『デジタル領域におけるリピート通販ビジネス』の4大トピックス」を発表
株式会社ワンスターのダイレクトレスポンスマーケティング研究所(以下DRM研究所)が「2015年の『デジタル領域におけるリピート通販ビジネス』の4大トピックス」を発表した。
【要旨】
変化の激しいデジタルマーケティング業界の変遷は、中高年~シニアを中心とした
リピート通販業界のマーケティングにも強く影響しており、元来リピート通販業界が持つ特有のビジネスモデルと相まって、特異な成長を遂げています。
機能性表示の施行や参入企業の激化などリピート通販業界も大きな変化を遂げるであろう2015年。
デジタルマーケティング領域におけるリピート通販業界において、今年特に注目されるであろう「4大分野」に関して、DRM研究所の予測する今後の展望を含めて報告します。
なお本報告は、DRM研究所の所長山崎洋志を中心としたメンバーにて、特に「リピート通販業界特有の変化」をテーマに検討しまとめたものになります。
【1】広告予算のCRM領域へのシフト
~ スマホに於ける脱Eメールの流れができる1年に ~
リピート通販企業の参入が相次ぎ、この1~2年、ネット広告における新規の獲得コストが高騰し続けておりその傾向は2015年も変わらずに推移することが見込まれます。
新規の獲得効率が悪化するで、広告予算を使い切れないケースが増加し、今後新規の広告予算がCRM施策の予算に分配がされることが予想されます。
一方で業界の流れとしては、ビッグデータの活用、DMPの構築、ソーシャルメディアを中心としたメール以外の顧客接点を持つツールが増えたことにより、施策の予算として使える幅が広がっています。
このような状況を踏まえ、これまでとは違う規模で新しいCRM施策のテストを実施する企業が一気に増えていく1年になると推測します。
また、CRM施策の中でも注目されるのが「スマートフォン広告で獲得した顧客の引き上げ施策」です。
※引き上げ施策:トライアル商品購入者など初回購入客を
本商品・定期商品など2回めの購入に引き上げる施策のこと
現在、新規顧客獲得のための広告としては、スマートフォン広告への出稿が拡大しており、化粧品通販では広告費の8割以上をスマホに寄せている企業様も珍しくありません。
新規の獲得がスマートフォンに移行する中で、スマートフォンで獲得した顧客の「引き上げ」が課題となるケースが増えています。
これまでリピート通販におけるデジタル領域でのCRM施策はメールが主流であり、メールが効かないとされる他業界とは異なり、施策とクリエイティブ次第で高いレスポンスを出すメールマーケティングが可能でした。
一方、スマートフォンではその手法が効きづらいケースが発生しており、この対策が急務になっています。
WEB業界全体としてCRM領域で注目されているのはプライベートDMPですが、一方でリピート通販業界ではまだその成功事例が出てきてはおらず、2015年段階では、この業界では、実利に大きく貢献される手法としては確立はされないと予想します。
ではどういった施策に移行するかと言えば、高齢商材であれば「スマホ顧客×アウトバウンドコール」。
コールが有効的な施策として効く「顧客層」を見極め、アウトコールで引き上げる事例が増加すると予想します。
若年層商材に関しては、まだ方法を確立されていない状況ではありますが、チャットやLINEのようなインフラを活用し、1to1マーケティングをデジタルで行うような事例が増えていくと思います。
現在通販大手企業は自社でコールセンターを抱えていますが、デジタルでのコンタクトセンターを構築するような企業も出てくるのではないでしょうか。
【2】効率重視のテクノロジーが今後も活性化し、
複数商品展開を行う企業が増加する
アドテクノロジーの発達により「効率的」な広告展開が可能になっています。
一方で、効率が向上したが規模が拡大できないという課題は依然として大きく、DSPがリターゲティングを中心とした広告配信となり予算規模の拡大が難しいという現状は2015年も続くことが考えられます。
この「予算は大きくないけれども、効率的に顧客を獲得できる」という部分を活かし、
「顕在層マーケティング」がより活性化していくと考えられます。
※顕在層マーケティング:商品へのニーズが顕在化している顧客へのマーケティング。
このリリースでの言葉の意味としては、商品の指名検索が中心にはなるが、健康食品でいえば成分名での検索や症状・悩みの内容での検索、リターゲティング広告なども含めた広義的な顕在層へのマーケティング
そのため、1つの商品で一定規模まで拡大した企業の次の対策として、数点~数十点の別商品をそれぞれ少獲得効率が合う範囲で広告出稿し、1商材あたりの売上は小さいながらも数を増やすことで売上を伸ばす企業が多くなることが予想されます。
これまではクロスセル用に用意しておいた商品郡に関してそれぞれ少額の予算を設けて新規顧客の獲得に活かしていくようなケースが増えるのではないでしょうか。
これには、背景として、1商材における成長規模が小さくなっている状況や、複数商材を広告展開する際のコストが下がっている点、成分認知が高ければ現在使用しているユーザーからのスイッチが見込める点など複数の背景があり、リピート通販企業の事業モデルが変わってきている現れでもあると感じています。
【3】リピート通販業界の海外展開が活性化
特にアジア圏で先行者利益を得る企業が続出する1年
国内市場の成長余地が限られる中、日本で販売している商品を海外で販売するリピート通販企業の事例が出てきています。
これまでは大手通販企業が店舗を中心とした展開や、現地企業と合弁会社を作っての参入が多かった状況ですが現在では大手企業以外の事例でも、通販事業をほぼそのまま海外で展開し成功している企業が出てきています。
特に、日本商品ということで一定のブランドが保てる親日国や、メーカー直販形式の通販というビジネスモデルが珍しく競合となる企業が不在な国では新規顧客獲得の効率が非常によく、事業として好調な事例が出ています。
先行者利益が続く2015年、日本国内市場の成長の鈍化から海外展開に着手する企業、そこで成功事例を作っていく企業が増えていくことが予想されます。
【4】ネット広告代理店の一部に陰りがでる1年
生産性と付加価値がキーワードに
最後は支援業界の予測について。
インターネット広告業界はその変化が激しく、2015年は「ネット広告代理店」に変化が出てくると予想されます。
アドテクノロジーの発達により「広告の自動最適化」が進んでいることと、メディアの仕入れによる差別化が図れない「運用広告」の予算が拡大しているという背景から、広告代理事業を行うネット代理店としてはサービスの差別化が難しくなっています。
それに加え、広告運用はより細かくより複雑になっており同じ1000万円の予算を運用するために必要な業務は年々増え続けており、運用コストがが高騰している状況です。
そのため、ここ数年の動きとして大手ネット広告代理店を中心に地方拠点や海外に広告の運用業務をアウトソースする企業が増え、広告運用の「生産性向上」が注目されてきました。
2015年に関してはこれまでの運用広告における生産性向上対策の進捗如何により、業績に影響が出てくる企業が現れはじめる1年になるのではないでしょうか。
規模を拡大し生産性を上げていく以外には、クライアント業界を絞りその業界に最適なツールの選定や最適な運用を行う「業界特化の垂直統合型の代理店」というモデルのように付加価値をつけていくことも必要になってきます。