日本経済社調査、震災後、大手企業のITシステムへの取組が変化 ノートPCやiPadを利用した「在宅勤務」への対応が加速

株式会社日本経済社は8月5日、「IT導入関与者調査」2011年版の結果を公表した。
IT製品・サービスの導入時における重視点やIT企業の評価・イメージ、参考にしているメディアや情報源等を把握し、BtoBコミュニケーション戦略立案の基礎データとすることを目的としたもので、今年度は、東日本大震災が、大手企業(従業員規模300人以上)の経営課題やITソリューション分野にどのような影響を与えたか、また、今年度のIT予算の動向や在宅・モバイル勤務の状況についても質問した。

IT関連製品・サービスの導入に関与するビジネスパーソンを対象に、2011年6月17日~19日に調査を実施。従業員規模50人以上の企業に勤務する2,060人より回答を得た。
まず、「今年度のIT予算」は震災にもかかわらず、前年度より「増額」が31.2%で、「減額」(21.7%)を上回ることが明らかとなった。「今年度のIT予算は前年度と比べてどの程度増減するか」をたずねたところ、「大幅に(10%以上)増加する」と「やや増加する」をあわせた増加計(31.2%)が、「大幅に(10%以上)減少する」と「やや減少する」をあわせた減少計(21.7%)を上回っていた。業種別(全32業種)では、非鉄金属や金属、鉄鋼などの素材関連製造業と倉庫、運輸、陸運、海運、空運の輸送関連企業が、今年度のIT予算を大幅に増額させる見込みだ。

次に、具体的に「震災以降、早急に取り組むITソリューション分野」を具体的に分析。関心を持っている分野で13位だった「BCP(事業継続計画)/災害対策」は、震災以降で1位に順位が上がっていた。また、「ITの省電力化、TCOの削減」は9位から2位に順位を上げ、電力使用制限にともなう事業継続計画の策定や見直しがIT分野でも早急な課題に挙がっていることが判明した。他に特徴的なのは、「在宅勤務システム」(16位→5位)と「モバイル環境でのシステム利用」(15位→10位)などが上げられる。BCPの一環としてテレワーク(ITを利用してオフィス以外の場所で仕事をすること)の利用環境整備の動きが、加速されているようだ。

そこで、在宅勤務やモバイル勤務で利用されるデバイスのうち、ノートPCとiPad利用者をとりあげて業務を行う場所をみたところ、ノートPCとiPad利用者ともに「自宅(在宅勤務)での仕事が増えた/増えそうだ」(52.7%、67.0%)がもっとも高い結果になった。さらに、iPad利用者では「カフェやファストフード店での仕事が増えた/増えそうだ」や「図書館での仕事が増えた/増えそうだ」と回答した人がノートPC利用者の2倍近くいた。