電通「2010年日本の広告費」を発表、日本の広告費は5兆8,427億円で前年比1.3%減

株式会社電通は2月23日、日本の総広告費と、媒体別・業種別広告費を推定した「2010年(平成22年)日本の広告費」を発表した。これによると、昨年2010年の日本の総広告費は5兆8,427億円で、前年比98.7%となった。
総広告費は、2004年に日本経済の景気回復基調とデジタル家電やインターネットの普及を背景に増加傾向となり、2005年(前年比102.9%)、2006年(前年比101.7%)、2007年(前年比101.1%)と増加を続けていた。しかし、2008年にアメリカの金融危機に端を発した世界同時不況を背景に減少に転じ、2008年(前年比95.3%)、2009年(前年比88.5%)と下落している。2010年も前年比98.7%と前年実績をわずかに下回ったものの、マイナス幅は前年比1.3%減と大幅に縮小している。
この理由については、ゆるやかな景気の回復と企業業績の改善、バンクーバー冬季五輪、サッカーワールドカップ南アフリカ大会、上海万博等の国際的な大型イベントの開催や、エコカー補助金やエコポイントなどの景気刺激策のプラス要因と、電通の調査では考察している。とくにテレビ広告費を中心に年後半にかけて広告費が増加したことが下げ止まりの傾向を強めた。

媒体別にみると、「テレビ広告費」(前年比101.1%)が増加したが、「新聞広告費」(同94.9%)、「雑誌広告費」(同90.1%)、「ラジオ広告費」(同94.8%)が減少し、「マスコミ四媒体広告費」(同98.1%)は6年連続して前年を下回った。マスコミ広告以外では、「プロモーションメディア広告費」(同95.6%)が3年連続での減少となった。BSデジタル放送などの増加で「衛星メディア関連広告費」(同110.6%)は2ケタの伸長。「インターネット広告費」(同109.6%)はインターネット連動型キャンペーンが増え、大幅な増加となった。
業種別(マスコミ四媒体)では、「情報・通信」(インターネットサイト関連が大幅に増加)、「ファッション・アクセサリー」(婦人服、ジーンズ、紳士服などが増加)、「化粧品・トイレタリー」(ヘアケア、メイクアップ化粧品などが増加)など21業種中8業種が前年を上回った。減少は「官公庁・団体」(衆院選関連出稿の反動)、「趣味・スポーツ用品」(ゲームソフトなどが減少)など13業種であった。