角川グループHD、経常利益91.8%増 広告事業は苦戦が続くも書籍、DVD等の売り上げが好調 平成23年3月期第3四半期決算

角川グループホールディングスは1月28日、平成23年3月期第3四半期決算を発表した。

<平成23年3月期第3四半期の連結業績>
(平成22年4月1日~平成22年12月31日)
売上高:1044億100万円(前年同期比 5.4%増)
営業利益:53億8,300万円(同 87.3%増)
経常利益:59億8,700万円(同 91.8%増)
四半期純利益:1,200万円(同 77.8%減)

各事業の概況は次のとおり。

<出版事業>
売上高:731億300万円
営業利益:67億6,900万円

書籍はコミック、ライトノベルがメディアミックス効果を生かし好調を持続。また、実用書、新書、児童書などの新たな事業領域からもヒット作、ロングセラー商品を輩出している。グループ会社連携の新たな試みとして、角川書店のコミックのキャラクターを中経出版の学習参考書に起用した「『らき☆すた』と学ぶ化学[理論編]が面白いほどわかる本」を発売し、予想を上回る売行きとなった。

<映像事業>
売上高:249億8,100万円
営業利益:5億3,000万円

劇場映画は、シリーズ3作目となる「エクリプス/トワイライト・サーガ」やデンゼル・ワシントン主演「ザ・ウォーカー」などを公開。DVDやBlu-rayでは「涼宮ハルヒの憂鬱Blu-rayBOX」や「涼宮ハルヒの消失」が大きく売上に貢献した。一方、邦画配給作品の興収目標未達や11月以降の劇場動員減が業績に影響した。

<クロスメディア事業>
売上高:208億3,500万円
営業利益:1億2,800万円

情報誌では毎年大きな需要期となる年末年始に「週刊ザテレビジョン」(角川マーケティング)をはじめとするテレビ情報誌の特大号を発売し、新たな試みとして番組表を掲載しないテレビ誌「ザテレビジョンZoom!!」も発売。ラーメンプロジェクトの一環として「ラーメンWALKER」を全国36版で発売し、Webページとの連動で新たなビジネスモデル創出に取り組んだ。電子書籍事業では、電子書籍を中心とするデジタルコンテンツの販売を行う角川グループ独自のプラットフォーム「BOOK☆WALKER」iPad/iPhone版をスタートさせた。また、広告事業は雑誌、ネットともに苦戦が続くが、企業向けカスタムマガジンの健闘が売上の底支えとなり、雑誌・広告事業は収益を確保している。

なお、角川グループホールディングスは同日、平成22年7月29日に公表した平成23年3月期通期連結業績予想数値の修正も発表している。

<平成23年3月期通期連結業績予想数値の修正>
(平成22年4月1日~平成23年3月31日)
売上高:1360億円(前回予想と同じ)
営業利益:64億円(前回予想から7億円増)
経常利益:70億円(前回予想から10億円増)
純利益:23億円(前回予想から3億円増)

修正の理由としては、出版事業においてライトノベルやコミックのメディアミックス作品、ビジネス書、新書等の重版出荷が好調であり、またDVD/BDではアニメ作品の販売が増加し、これらが利益増加に貢献したためとしている。