【特集】「第9回ファインドスターフォーラム」オープニングセミナー報告  ~Twitterも活用し、特別対談「今、なぜデスクトップに注目するのか。」~

4月12日、13日の両日、ベルサール神田にて「第9回ファインドスターフォーラム」が開催された。オープニングを飾ったセミナーは、スケダチ 高広伯彦氏、大和ハウス工業株式会社 総合宣伝部デジタルメディアグループ 大島茂氏、アドビ システムズ株式会社 太田禎一氏の3名による特別対談。「今、なぜデスクトップに注目するのか。」をテーマに、前半は3氏それぞれの講演、後半はTwitterで質問を受け付けながらの対談という2部構成で行われた。


雨にも関わらず、特別対談には180名近い人が集まった

前半の講演で、高広氏は、「ペタろう」や「日産デスクトップツール」など自らが手がけてきた事例をあげながら、過去約10年間のデスクトップアプリケーションの世界について紹介。その上で、デスクトップアプリケーションにおけるアイディアは、今後、スマートフォンなどのPad系情報端末、さらには近い将来テレビの画面上に載ってくるウィジェットにも通じるとして、広告やマーケティングにおいても注目すべき概念と論じた。
続いて登壇した大島氏は、スケダチが開発を担当し、昨年末にβ版をリリースした「デスクトップジーヴォ」を紹介。潜在的な顧客とコミュニケーションしていくための手段として、デスクトップアプリケーションを採用した経緯について説明した。
太田氏は、ブラウザの枠にとらわれずにアプリケーションを開発できるツールとして、自社の「Adobe AIR」の魅力について解説。実際にAIR を使ったアプリケーションの数々も紹介した。


スケダチ 高広伯彦氏による講演

後半の対談は、ハッシュタグ「fsf9」を発行し、Twitterで質問を受け付けながら行われた。会場の関心は、やはり大和ハウス工業がリリースした「デスクトップジーヴォ」にあったようで、質問も多くは「デスクトップジーヴォ」に関するものとなった。
「デスクトップジーヴォ」は、大和ハウス工業の主力戸建住宅ブランド「xevo(ジーヴォ)」をモチーフにした家やデジタルペット「大和犬(ダイワケン)」などが登場するデスクトップアプリケーション。Twitter機能を搭載しており、投稿やタイムランの確認、ダイレクトメッセージの受信通知機能などが利用できる。企画提案と開発はスケダチが行っており、今も機能追加などのアップデートが行われている。

導入の背景について、大島氏は次のように語った。
「弊社の場合、住宅のニーズが顕在化している見込み客に対しては、現場の営業マンがどんどんアプローチしていくのですが、ニーズが潜在化している人とのコミュニケーションが全くなくて、何かを知らせようとすると、広告を打つくらいしか手段がないのですね。さまざまな企業がメルマガを発行しているのは、潜在的なお客さんとコミュニケーションをとるためだと思うのですが、何もメルマガでなくても、こういうツールを使ってもできるよねという発想に立っています。例えば、大和犬がつぶやいた情報というのは、強制的に見られるようになっています。そういう機能を使って弊社のアナウンスをしていきながら、いざ、住宅のニーズが起こった場合には大和ハウス工業に向いてもらうための下地を作っておく。要するに、潜在的な顧客と大和ハウス工業とがゆるやかにつながるツールと考えています」
今後は、大和犬以外にも大和ハウス工業からのメッセージを届けるための機能・アイテムを少しずつ増やしていく計画という。
「最初の段階で、弊社の商品の宣伝をメインにすると嫌がられると思ったので、まずはツールの機能を充実させていきながら、徐々に大和ハウス工業の色を出していこうと考えています。そういう部分も合わせて、現在も開発しているところです」(大島氏)

対談の冒頭、高広氏からの「ブラウザも含めて、こういうデジタルな企画の提案ってどのくらいあるものですか?」という質問に、「ほとんどないですよ。媒体枠の提案はいっぱいありますけど」と応えた大島氏。さらに後半には「(デスクトップジーヴォは)媒体を使わなくてもコミュニケーションできるという事例のひとつ。媒体だけで考えなくてもいろいろなことができますよ、というヒントにしてもらえたらいいと思っています」とも語った。広告主側は、もはや媒体枠だけでのマーケティングを考えてはいない。広告を売る立場にある代理店側にも、媒体枠だけに頼らない企画力・提案力が問われている。(編集部/宮崎規江)