GMOインターネットグループのGMOメイクショップ、「MakeShop byGMO」の流通額・導入店舗データからコロナ禍3年目のEC市場を分析

GMOインターネットグループのGMOメイクショップ株式会社は、同社が提供するECサイト構築SaaS「MakeShop byGMO」の2022年の年間流通額が3,000億円に到達する見込みだと発表した。

これは、過去最高を更新した2021年の2,749億円を上回る推移となっている。そして同社は、この約3,000億円の流通額と11,000件以上の導入店舗データをもとにEC市場を分析。コロナ禍以前の2019年からコロナ禍3年目を迎えた2022年の振り返りも発表した。
振り返りの内容は以下の通り。

「MakeShop byGMO」の年間流通額は今年も2桁成長で過去最高を更新し3,000億円到達見込み。
「MakeShop byGMO」導入店舗の売上の合計である流通額は年々増加を続け、ECサイト構築SaaS業界で10年連続No.1(※)となっている。特に2020年はコロナ禍による巣ごもり消費需要の増加から急成長を遂げ、2021年もさらに成長した。2022年は、特需が落ち着く中でも2桁成長の推移となっている。
※SaaS型ネットショップ/ECサイト構築サービス運営企業各社の発表数値より比較(同社調べ 2022年3月時点)

2022年のECの利用は、コロナ禍以前の季節需要に応じた動向へ。
月間流通額の推移を見ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も受けた2020年は、緊急事態宣言の発令により外出自粛の意識が高まった4月から6月にかけて流通額が伸びているのに対し、2022年はコロナ禍以前の2019年の動きと近いことが分かる。長期化するコロナ禍と向き合いながら日常を取り戻し、ECの利用もコロナ禍以前の季節需要に応じた動向へと戻りつつあることがうかがえる結果となった。

2020年以降、「フード・菓子」ジャンルが導入店舗トップシェア。注文数も「フード・菓子」が急増、流通額では「ファッション・ブランド」が1位。
「MakeShop byGMO」を導入する事業者のジャンルは幅広いが、2022年12月時点で最も多いのは導入店舗のうち18.1%を占める「フード・菓子」ジャンルとなっている。2019年までは「ファッション・ブランド」が最も多く15.2%だったことから、コロナ禍で飲食店が営業自粛に追い込まれたことや、外出自粛により食品のお取り寄せ需要が増加したため、飲食店や食料品店のEC化が進んだことが影響していると考えられる。
また、ジャンルごとの注文数を見ても、2019年は1位が「ファッション・ブランド」で全体のうち17.2%を占めていたのに対し、2022年1月~11月のデータでは、「ファッション・ブランド」の17.9%にほぼ並んだ17.6%になるなど、「フード・菓子」ジャンルの急成長が見て取れる。しかし、「フード・菓子」ジャンルは商品単価が低いため、同期間の流通額で見ると「ファッション・ブランド」が1位という結果になっている。

ID決済の注文割合が3年で10ポイント増の急成長。複数の決済方法を導入している店舗のほうが高い売上に。
2022年1月~11月の決済手段ごとの注文数としては、54%でクレジットカード決済が最も多かったが、ID決済は2019年に比べて10ポイント以上増加している。これには、キャッシュレス化の浸透に加え、コロナ禍の中で実店舗で非接触で購入できるID決済などの利用頻度が増え、ECの注文においても利用されるようになったことや、非対面受け取りのために減少した代金引換と置き換わったことなどの背景があると考えられる。
「MakeShop byGMO」においては、クレジットカード決済のみ導入の店舗と、ID決済など複数の決済方法を導入している店舗の売上を比較すると、後者の売上のほうが高い傾向があり、クレジットカード決済以外に3種の決済方法を導入する店舗の場合には、クレジットカード決済のみの店舗の4.8倍も売上が高いといったデータもある。

地域別の導入店舗数は、九州・四国・中部・北海道と地方で大きく伸長。GMOメイクショップでは、地方におけるEC化・DX化の支援体制を強化。
地域別の導入店舗数では、関東が最も多く全体の46%だが、2022年と2019年を比較した成長率で見ると、九州が150%と最も伸びており、次いで四国が141%、中部・北海道が131%となっている。これは、コロナ禍で観光業が打撃を受けた地方事業者が販路拡大のためEC化に乗り出したことや、業務効率化のためにDX化を推進する動きが活発化したことが影響していると推測される。
導入店舗数のジャンルを地域別に見ると、コロナ禍以前は「ファッション・ブランド」が最も多かった関東・関西のうち、関西では2022年に「フード・菓子」が1位に浮上。その他の地方でもコロナ禍により「フード・菓子」ジャンルの成長が加速し、九州・四国・北海道・東北では30%以上を占める結果となっている。
GMOメイクショップでは地方におけるEC化・DX化の支援体制を強化するため、2022年に香川銀行や百十四銀行、福岡商工会議所との連携を発表。「MakeShop byGMO」の導入支援や、共催セミナーの開催によるEC運営ノウハウの提供を進めるなど、地方支援体制を強化している。

コロナ禍で急増した補助金の申請希望は減少するも、支援強化で採択率は向上へ。
2020年は、巣ごもり消費需要に対応するべく「MakeShop byGMO」の新規導入店舗が前年比144%と急増。開店資金に補助金を活用する事業者も多く、経済産業省による「サービス等生産性向上IT導入支援事業」の申請希望者は前年比527%と大幅に増加した。2022年は、2020年と比較すると申請希望は半分以下に減少している。
なお、GMOメイクショップは、補助金や助成金を必要とする事業者が申請を行う際の作業負担を軽減し採択率を向上するため、2021年より行政書士法人や社会保険労務士法人と連携。2022年にGMOメイクショップが支援したIT導入補助金の採択率は、全体平均の82.7%を上回る84.8%となっている。

2022年は「海外販売機能」の導入店舗数が急増、越境ECは今後も増加へ。
2022年の「MakeShop byGMO」利用傾向において特徴的だったのは「海外販売機能」の導入店舗数の急増で、2022年4月の提供開始直後から円安の影響で注目が高まり、毎月100件ペースで導入店舗数が増加、12月14日時点で900件に到達し、海外販売による流通額も増加を続けている。インバウンド消費の減少が回復しない中、越境ECへの対応によるウェブインバウンド需要の獲得に対する期待も大きく、また「海外販売機能」は追加費用負担もないため、引き続き導入店舗数の増加が見込まれる。

■リリース
https://www.makeshop.co.jp/news/press/2022-12-22/