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リサーチで顧客の声を聴け!課題把握で売上をあげるリサーチのツボ!

1968年の創業以来の豊富な実績と、最新手法をあわせ持つジャパン・マーケティングエージェンシー。東京オフィスはトレンドの発信地かつ、新興企業の集まる渋谷に位置し、常にマーケティングの最前線を肌で感じています。これまでの多数のマーケティング実務を通じて得た、マーケティング・リサーチのツボをご紹介します。

牛堂 雅文
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第2回:「アンケートだけがリサーチではない」課題に適した手法を選ぶ

前回のコラム執筆後「リサーチのタイプについてわかりやすく解説して欲しい」といったご要望をいただきましたので、前回とはやや異なる観点でご説明したいと思います。

●「アンケートなんか信用するな」


さて、今回のテーマは「アンケートなんか信用するな」という一見もっともらしい疑問への回答です。

この言葉には大抵続きがあります「なぜなら、消費者は自分の欲しいモノをきちんと答えることができないからだ」という論調です。分かりやすく言いますと「iPhone がないときに『iPhone のような製品が欲しい』なんて答えないだろ?」という話です。


 

もちろん、「役に立たなかったアンケート」もあっての意見だと思いますので、そこはリサーチャーとして真摯に受け止めたいと思います。

ただ、スティーブ・ジョブズほどの天才ならマーケティング・リサーチなしの、“ひらめき”で素晴らしい製品開発ができるかもしれませんが、一般的な社員はそうではありません。市場やユーザーの情報、評価なしで製品開発を続けることは可能ですが、ハイリスクな状態とも言えます。

そして、そもそも論となる「アンケートの使い方」、「リサーチ手法の使い分け方」に本質的な問題が潜んでいそうに感じています。


●マーケティング・リサーチのタイプ分け

「マーケティング・リサーチ」には、「グループ・インタビュー」もあれば、「観察調査」もあり、「購買履歴の分析」もあります。もし「アンケート=マーケティング・リサーチ」と考えているとすれば、かなり狭い範囲しか見ていないことになります。

第1回で触れたP&G社「ファブリーズ」の事例でも、ご自宅など使用現場の「行動観察」を重視したそうです。今回はこのような様々なリサーチに焦点を当てていきたいと思います。
まずマーケティング・リサーチは、以下のようにおおまかに整理されます。



こうしてみると、「アンケート」はマーケティング・リサーチの一面にすぎないことが分かります。むしろ、私は「素晴らしい発見はアンケート調査以外のところで発生しやすい」という感触を持っています。

では、定性調査を中心にいくつか代表的なマーケティング・リサーチを見ていきましょう。

■グループ・インタビュー(FGI:Focus Group Interviews)

「グループ・インタビュー」は定性調査の代表選手であり、6名位の対象者に座談会会場に集まっていただき、司会(モデレーター)の進行で生の意見を聞きだしていく手法です。

 

「自社ユーザー、他社ユーザーなどを生で見られる」ということ自体に大きな意味があり、そしてポロッと出る本音、聞き出した意見などから多くの気付きが得られます。そこには、アンケート調査だけでは発見できない実に多くの定性情報があふれています。

対象者には裏でモニタリングしていることは伝えていますので、「いい子的」な意見を言うかと思いきや、割とズバッと痛いところを突いた意見を聞けることもあり、実に聞きごたえがあります。

ただ、1グループのみでは意見の濃淡が見えませんので、2グループ以上で実施して比較することをお勧めしています。

「グループダイナミクス」といって対象者相互の刺激から新しい気付きが生まれることがある反面、他の参加者の発言に影響を受けてしまうことはデメリットとも言えます。また、1名あたりの平均発言時間が短くなりますので、少し消化不良気味に感じてしまうこともあります。


■デプス・インタビュー (1on1インタビュー)

1回あたりの対象者を1名に限定し、インタビュアーと1対1形式で進めます。1名あたりの時間を多くかけられる(1時間~1時間半程度)ことと、他の参加者の影響を受けないため、掘り下げて聴取するのに適しています。また、購買決定までの流れが複雑な製品や、過去の保有歴をじっくり聞く場合などに適しています。


 

1セグメント2~4名、4セグメントでトータル8~16名など複数名に聞き、「たまたまその意見を言った1人が特殊だったのではないか?」という危惧に対応した設計にします。

デプス・インタビューの情報量は圧倒的に多く、グループ・インタビューをやめて、デプス・インタビュー中心に実施されている企業もあります。
しかし、1回で6名、1日で多い時は12~18名程度の意見が聞けるグループ・インタビューに比べ、デプス・インタビューは1日で4、5名程度とトータルで見ると効率が悪く、非常に時間がかかりますので、そこがデメリットとなっています。

■観察調査

「聞いても潜在的なニーズはなかなか答えてくれない」「実際にユーザーが使っている現場を見るのが一番」という発想に基づき、使用現場を観察する調査になります。一部で「エスノグラフィー」と言われることもあります。

ゼロックス社の事例でコピー機を使用しているところを撮影し、行動観察から「はたから見ると使いにくそう、無駄が多い」といった潜在ニーズを発見し、改善につなげた例が有名です。

実際我々は多少不便であっても日常的に使っているものは習熟でカバーしてしまい、不便さに気がつかなくなってしまうことがあります。
しかし、実際に観察してみると動線がスムーズでなかったり、置く場所がなく手に持ったままになったり、姿勢が不安定なので手で何かをつかんでいたり、何度も表示を確認していたり・・・といった不便さがあぶりだされてきます。

また、一杯のコーヒーといっても人によってずいぶん量が異なっていたり、Webサイトでボタンに気が付かずその上をマウスが通過していたり、といった、「観察でしか気付きようがない様々な発見」があります。

観察調査はご自宅や職場を訪問するケースもありますし、会場に製品を持ってきていただき、そこで使ってもらうケースもあります。店頭での選択行動が課題になっている場合は、「調査会場内に再現した売り場」で調査を実施することもあります。

コストや時間は、デプス・インタビューと同じかそれ以上となりますので気軽にできる手法ではありませんが、観察調査はマーケティング先進企業といわれる多くの企業で実施される傾向にあります。

■日記調査

これは他の手法とは趣が異なっており、日常の○○使用の記録を淡々とつけていただいたり、日々感じたことを記録していただくものなどになります。作った料理を写真付きで記録していただく「食日記」などもよくある使い方です。

日記調査は単独で用いられることは珍しく、デプス・インタビューとセットで用いて不明点をさらに聞き出すなど、複合的に使われることが多くなっています。

■MROC(Marketing Research Online Community)

インターネット、SNSの普及・発展に伴い、比較的最近登場した手法です。条件に当てはまる数十名程度の参加者を集め、調査専用にFacebookのようなコミュニティを作り、そこで議論を進めていきます。

チャットとは異なり「掲示板形式」で進めますのでいつでも参加でき、議論中心に定性的に進め、時にはアンケートや投票機能でアンケート的に意見をはっきり聞くこともできます。

全国どこの方でも、いつでも、匿名で参加できる特徴があり、顔を合わせて話しにくいテーマ等ではむしろグループ・インタビューより場が活性化して、様々な意見が飛び交うことがあります。

ただ、2週間以上という長期間での実施が基本であり、すぐに結果が求められる場合には不向きな手法となっています。

■アイトラッキング調査

何を見ていたのかという「視線」を計測する「アイトラッカー」という測定器を用いて、陳列された商品のうちどれを見ていたか、パッケージのどこを見ていたか、画面のどこを見ていたか、といった情報を記録する手法です。

 

店頭でのパッケージの競争力把握や、Webサイトの使い勝手(ユーザビリティ)を探る調査にも用いられています。


視線はウソをつきにくいもので、男性にセクシーな服装の女性の出演した広告を見せると、予想通りの場所に視線が集まるなど、視線は実に本音に近いと納得できる結果が得られます。

1回の調査で計測できる人数が限られるため、コスト的に割高になることがデメリットと言えます。また、視線の記録だけではなく、インタビューもセットにすることで、「何が気になって見ていたのか」という点を解きほぐしていきます。


■購買履歴データなどの分析

この中では定性的なアプローチではなく、番外編的な位置づけになりますが、購買履歴データなどの実際の行動をベースとしたデータの分析も注目を集めています。規模が大きい場合は「ビッグデータ」と言われることもあります。


この製品をよく買うユーザーは他にどういった行動をしているのか、パターンがあるのではないか、パターンに応じて製品をお勧めしてはどうか?といったパターンの発見や、購買者・購買額を増やすためのサービスの改善点発見などに用いられます。


●まとめ


今回はアンケート以外の様々なマーケティング・リサーチについてご紹介しました。

マーケティング先進企業では、こういった様々なリサーチ手法を適宜使い分けて製品・サービス開発に活用しています。


ここまで読み進めていただきますと、冒頭に出た「アンケートなんか信用するな」というセリフが随分違った印象で聞こえてくるのではないでしょうか。課題に合わせて様々なアプローチを用いるのがマーケティング・リサーチの有効な活用法です。「アンケートだけで何とかする」という時点で限界があり、信用できるできない以前の部分でつまづいてしまっている可能性もあります。


もちろん、「アンケートに適した課題」も多々ありますので、安直にアンケートという手法のみを選ばなければいいだけの話とも言えます。


とはいえ、「今持っている課題の場合、どういうマーケティング・リサーチをすればいいのか分からない」という方も多いでしょう。・・・そんな時はマーケティング・リサーチ会社にお問い合わせください。多少なりともお力になれるものと思います。

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