電通、業績連動型株式報酬制度の導入を発表

株式会社電通は、2018年11月14日付け公表の「役員の報酬制度改定に関するお知らせ」により、取締役および執行役員の報酬制度を改定し、その主要な施策として、役員のミッションである「中長期を見据えた戦略の遂行」に対する動機付けをさらに高めることを目的に、中長期賞与として、新たに業績連動型株式報酬制度(以下、同制度)を導入する予定であることを告知していたが、今回取締役会において、執行役員を対象として、同制度を導入することを決議し、同制度に関する議案を2019年3月28日開催の定時株主総会に付議すると発表した。
詳細は以下のとおり。

1.制度の概要
同制度は、同社が拠出する金銭を原資として、同社普通株式が、同制度に基づいて設定される信託を通じて取得され、同制度の導入後に就任した同社の執行役員(その後に退任した者を含む)に対し、後記5のとおり、同社の取締役会が定める役員株式給付規則に従い、同社の業績に応じて、同社普通株式および同社普通株式を時価で換算した額に相当する額の金銭が同信託から給付される業績連動型株式報酬制度。後記5のとおり、執行役員が当社株式等の給付を受ける時期は、原則として、その支給対象となる各事業年度を初事業年度として連続する3事業年度が経過した後となる。
同制度の導入により、執行役員の報酬と同社の業績および企業価値との連動性をより明確にし、株主をはじめとするステークホルダーとの利害共有を促進することで、同社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上に貢献する同社の執行役員の意識を高めることができるものと考えているという。
なお、同制度は、同社の執行役員の報酬として適用されるものであり、取締役の報酬として適用されるものではない。同社は、監査等委員でない取締役に支給する金銭報酬の支給限度額の総額を2016年の定時株主総会において年額12億円と定めるに当たり、その報酬総額に取締役兼務執行役員の執行役員としての報酬額も含める形で、株主の承認を得ている。そのため、執行役員のうち取締役兼務執行役員に対して同制度を適用するに当たっても、上記の金銭報酬とは別枠で、同制度を取締役兼務執行役員に対して適用することおよびその枠組みについて、株主総会に付議することとした。

2.制度の対象者
同制度は、同社の取締役兼務執行役員を含む執行役員を対象とする。
執行役員は、正当な理由により解雇された者でないことと、その他の役員株式給付規則に定める受益者要件を満たしていることを条件として、当社株式等の給付を受けることができる。

3.同社が拠出する金額
株主総会において同制度に関する議案が原案どおり承認可決されることを条件として、同社は、2019年12月末日に終了する事業年度(以下、当初対象事業年度)およびその後の各事業年度を対象として同制度を適用し、執行役員に対して同社株式等の給付を行う。そのために同信託が行う同社普通株式の取得の原資に充てるため、上記の目的を踏まえて相当と考えられる金額として、以下のとおり金銭を同信託に拠出する。
同社は、同信託の設定時(2019年5月(予定))に、当初対象事業年度に対応する必要資金として、取締役兼務執行役員分として総額2億円、それ以外の執行役員分として総額6億円をそれぞれ上限額として、金銭を拠出。
また、同社は、当初対象事業年度後も、同制度が継続する間、原則として事業年度ごとに、取締役兼務執行役員分として総額9億円、それ以外の執行役員分として総額27億円をそれぞれ上限額として、同信託に金銭を追加拠出する。ただし、かかる追加拠出を行う場合において、同信託の信託財産内に残存する同社普通株式または金銭(以下、残存株式等)があるときは、残存株式等の金額のうち、取締役兼務執行役員分として残存する金額とそれ以外の執行役員分として残存する金額を、それぞれの区分に応じて上記の上限額から控除した金額を、追加拠出の上限額とする。
なお同社は、各事業年度中、当該事業年度における拠出額の累計額が上記の上限額に達するまでの範囲内においては、複数回に分けて、同信託への金銭の拠出を行うことができるものとする。
また、同社が追加拠出を決定したときは、適時適切に開示を行う。

4.同社普通株式の取得方法
同信託による同社普通株式の取得については、同信託が、上記3により拠出された金銭を原資として、取引所市場を通じて購入する方法または同社による自己株式の処分を引き受ける方法により、これを実施することとし、同社から同信託への新株の発行は行わない。
同信託による同社普通株式の取得についての詳細は、適時適切に開示を行う。

5.執行役員に対する同社株式等の給付
執行役員は、就任中の各事業年度に関して、当該事業年度の一定の日(以下、ポイント付与日)に、当該事業年度における職務執行の対価として、役員株式給付規則に定める算定式に従って算定される数のポイント(以下、基準ポイント)の付与を受けるとともに、ポイント付与日が属する当該事業年度を初事業年度として連続する3事業年度(以下、業績評価期間)が経過した後の一定の日(以下、権利確定日)までに所定の手続をとることにより、権利確定日をもって、同信託から同社株式等の給付を受ける権利を取得することができる。その際、各執行役員に当該初事業年度に付与されていた基準ポイントの数は、役員株式給付規則に定める算定式に従い、業績評価期間の業績に応じて調整される(以下、かかる調整後のポイントを「確定ポイント」といい、基準ポイントおよび確定ポイントを総称して「本件ポイント」いう)。
その後、当該執行役員は、確定ポイントの数に応じた同社株式等の給付を同信託から受けることができる。
執行役員に付与する本件ポイントの総数に応じて算定される当社普通株式の総数は、1事業年度当たり144万株、そのうち取締役兼務執行役員に係るものは36万株を上限とする。ただし、同社普通株式について、株式の分割、株式無償割当て、株式の併合等が行われた場合には、その比率等に応じ、当該上限株式数につき合理的な調整を行う。
当社株式等の給付を受ける予定であった同社の執行役員が権利確定日前に死亡した場合、当該執行役員の一定範囲の遺族は、所定の手続をとることにより、当該執行役員が死亡時までに付与された基準ポイントの数に応じて算定される数の同社普通株式について、当該死亡時点における時価に相当する額の金銭の給付を受けることができる。
なお、同信託から金銭の給付を行うために、必要に応じ、同信託が保有する同社普通株式を売却することがある。

6.同信託内の同社普通株式に係る議決権
同信託内の同社普通株式に係る議決権は、同社から独立した信託管理人の指図に基づき、一切行使しないこととする。かかる方法により、同社経営への中立性を確保することを企図している。

7.同信託内の同社普通株式に係る配当の取扱い
同信託内の同社普通株式に係る配当は、同信託が受領し、同社普通株式の取得代金や同信託に係る受託者の信託報酬等に充てられる。なお、同信託が終了する場合において、同信託内に残存する配当金等の金銭は、役員株式給付規則の定めに従い、同社および同社執行役員と利害関係のない公益団体へ寄付される。

8.同信託終了時の取扱い
同信託は、同社株式の上場廃止、役員株式給付規則の廃止等の事由が発生した場合に終了する。
同信託終了時における同信託の残余財産のうち、同社普通株式については、同社が全て無償で取得した上で、取締役会の決議により消却することを予定している。同信託終了時における同信託の残余財産のうち、金銭については、上記7により公益団体に寄付される金銭を除いた残額が同社に給付される。

9.その他の事項
同制度のその他の詳細については、上記の範囲内で、同社の取締役会の決議により決定する。