電通、「労働環境改革」基本計画を公表 週休3日制移行も検討

株式会社電通は、労働環境の改革について、基本計画を発表した。7月5日に労働基準法違反で起訴されたことを受け、改革の現状と、今後の目標と詳細なロードマップを提示している。
山本敏博社長は「私は、すべての社員が健全な心身を保ち続けるとともに、一人1人の社員が自己の成長を実現・実感できる企業基盤の確立を2018年末までに完遂したいと考えております」とコメントしている。
同社では、2016年11月に「電通労働環境改革本部」を、2017年2月には「独立監督委員会」を設置。すでにいくつかの改善策を実行に移している。
公表された「労働環境改革基本計画 ―新しい電通を創る改革―」によると、全社員アンケート(半年間で計3回実施)、社員による提言ディスカッション、社内意見交換会(全105回 延べ2,125人出席)、社員からの提言Box設置などを行い、徹底的にオープンな議論を重ねたという。こうした経営と社員の対話では、総計約25,000件の意見が寄せられ、「長時間残業を許容する構造」「非合理的・非効率的な業務プロセス」「行き過ぎた指導」「労働基準法遵守の軽視」などが問題原因として指摘された。
これを受け同社では、労働環境改革基本計画として「ゼロの約束、80の目標、20の挑戦、100のゴール」を掲げている。「二度と労務問題を繰り返さない」という意志のもと、以下のような数値目標の実現を目指すとのこと。

ゼロの約束:「三六協定違反」「ハラスメント」「過重労働」をゼロにする
80の目標:1人あたりの総労働時間を80%に削減する
20の挑戦:生み出された20%の時間において「心身の向上」「日々の充実」「多様な体験学習」を支援する
100のゴール:社員と会社の新たな成長を実現し新しい電通を創る

具体策として、深夜業務の原則禁止、人材マネジメント担当職の全社設置、新入社員ケアプログラムの導入、個人評価指標の改訂、人員の増強、業務のスリム化・効率化などをすてに行っているが、今後は、過労死等防止啓発月間(毎年11月)に全社員参加の「ワークスタイル レビューウィーク」の設定、新任マネジメント職に対する昇格時の特別必修研修の導入、「人材再配置」の推進、「新・人材マネジメントシステム」「サテライトオフィス」「在宅勤務」の導入、取引先に対する協力要請、人事制度全般の再構築を行うとのこと。「サバティカル休暇」「週休3日制」移行なども検討する方針だ。第二新卒の強化、女性社員の活躍をサポートする環境整備促進も視野に入れている。
当面は“0”と“80”を中心とした実態把握ならびに検証を行う。改革に必要な環境・基盤の整備を2018年度末までに行い、2019年度以降はその継続・拡大を目指す。