デジタルガレージ、米PureTech社と業務提携で次世代バイオスタートアップの育成事業に参入

株式会社デジタルガレージは、バイオテクノロジーとITが重なる、次世代バイオ分野(Biotech2.0)で事業を手がけるスタートアップ企業を対象とした、投資および事業育成を行うインキュベーション事業に本格参入すると発表した。その一環として、最先端のバイオテクノロジー分野においてインキュベーション事業を手がけ、米国ボストンに本社を置くPureTech
Health社と業務提携した。
今回の業務提携に基づきPureTech社は、同社によるデジタルヘルス領域を含む次世代バイオ事業の創出を支援し、同社は、将来の合弁会社設立を視野に入れながら、PureTech社のデジタルヘルス事業の日本展開を加速するために協力する。
PureTech社は、臨床試験段階をターゲットにした最先端のバイオ医薬品会社。中でも、神経系、消化器系、免疫系の機能不全がもたらす深刻な病気に向けた全く新しい医薬品の開発に力を入れている。いくつもの医薬品を並行して手がけており、そのうち2つは2017年内に最終的な臨床試験や登録研究を終える予定。このほかにも臨床試験段階の複数の医薬品や、その前段階に位置づけられるさらに多くの医薬品の開発を進めており、これらの医薬品の開発パイプランは、バイオテクノロジー分野で世界をリードするエキスパートやPureTech社の経験豊富なチームによって支えられている。こうした体制により、革新的な科学と技術イノベーションで裏打ちすることで、既成概念を覆す開発を継続することを目指していくという。

同社が次世代バイオ分野のスタートアップ企業の育成を始める背景として、バイオテクノロジーの進化を加速する遺伝子解析や遺伝子合成の進展には、ムーアの法則に従い急速にコストが低減するコンピューティング資源の活用が欠かせないものになっていることや、深層学習技術などに基づく最新の人工知能を利用して瞬時に画像を解析し、正確な診断に役立てることが可能になり始めていることなど、バイオテクノロジーとIT技術が急速に融合した点を挙げている。

同社は、2010年に立ち上げた日本初の本格的なシードアクセラレーションプログラム「Open Network
Lab」を通じて、日本から世界を目指すインターネット関連のスタートアップ企業を対象にした、投資および事業育成を行ってきた。今回のPureTech社との業務提携を契機に、今後はこうしたインキュベーション事業の対象を、バイオテクノロジー分野のスタートアップ企業にも広げていくという。
また有望なスタートアップ企業への投資と並行して、バイオテクノロジー分野の研究者の起業をさまざまな側面から支援するエコシステムの構築にも力を入れる予定。具体的には、こうした研究者や起業家が情報を交換できるコミュニティの形成や、研究開発の方針や経営などを指南する指導者とのコミュニケーションの場の提供、コンピューターで分析した結果を実証するためのウェットラボ(実験室)の設立などを想定している。
同社は、株式会社カカクコム、株式会社クレディセゾンを含む3社で運営する研究開発組織「DG
Lab」においてバイオテクノロジーを重点分野の一つとしており、今回のPureTech社との業務提携を通じてDG
Labにおけるバイオテクノロジー分野での研究開発を本格化することも目指しているという。また、全額出資子会社で投資・育成事業を手がける株式会社DGインキュベーションを通じ、PureTech社の株式を保有している。