DRM研究所、「2014年の『デジタル領域におけるリピート通販ビジネス』の4大トピックス」を発表

株式会社ワンスターのDRM研究所(所長:山崎洋志)は、「2014年の『デジタル領域におけるリピート通販ビジネス』の4大トピックス」を発表した。

変化の激しいデジタルマーケティング業界の変遷は、中高年~シニアを中心としたリピート通販業界のマーケティングにも強く影響し、元来この業界が持つ特有のビジネスモデルと相まって特異な成長を遂げている。
本発表では、同領域の中でも「リピート通販業界」において、2013年の動向から今年特に注目されるであろう「4大分野」に関して、特に「リピート通販業界特有の変化」をテーマに検討しまとめたもの、としている。以下に4大トピックスを紹介する。

■法規制の変化
  ~広告表現にとどまらず、商品開発から見直す必要も?~

 医薬品のインターネット販売の権利確認・販売禁止の取消しを求めていた裁判(2013年12月に医薬品ネット販売の規制に関する改正薬事法案が可決)に始まった昨年は、健康食品を中心に法規制という部分でも大きな変化がありました。
政府が、医療費を抑制するために健康食品の機能性表示における規制緩和の検討を始め、6月には安倍総理も具体的な取組みとして検討することを明示しました。

表現における規制緩和が検討される一方で、年末に掛けて景品表示法や健康増進法違反における指摘があるなどコンプライアンスの重要性が再認識されるニュースも同時に増えております。

2014年には消費者庁が健康食品の表現に関する制度を作ることが決定されており、現在参考にしているとされるアメリカの制度基準になれば、表現における規制は大きく変わって参ります。効果に関する表現が自由になる一方で、表現のためにはエビデンスが必要になる可能性も有り、その場合今後のマーケティング・クリエイティブ開発に、商品に含有される成分からの見直しや、エビデンスのための試験をマーケティングを加味して行う必要も出てきます。
法規制の変化をチャンスと捉え、臨機応変に対応していくことが重要になります。

■スマートフォン広告の拡大
  ~2014年は男性向け商材元年!?~

 デバイスの普及、通信設備の拡充、ゲームやアプリ市場の拡大などスマートフォンに関するニュースが2013年も常に飛び交いました。

同時に、スマートフォンの広告市場も急拡大し、リピート通販業界でも多くの企業が出稿をしています。特に、20代~30代の女性向け商材を持っている企業で、トライアル商品を販売する企業では、ネット広告におけるスマートフォン広告のシェア率が50%を超えるなど、リピート通販業界にも大きな影響を与えました。

また、「購入するためのデバイス」としての位置づけも強く、既存顧客の購入経路別ではタブレット端末とスマートフォン端末の売上シェアが拡大しており、シニア向け商材を持つ企業でも全体(オフラインを含む)の3割以上がタブレット・スマートフォン経由という企業も出てきております。

2014年の動向としては、現在拡大が中々進んでいない「男性向け商材」「高齢者向け商材」におけるプロモーションの拡大が最も注目される点になると思われます。展望として、スマートフォン広告としては2014年が「男性向け商材の成長期」になると予想されます。

 

■Yahoo!ディスプレイアドネットワーク広告の拡大
  ~検索連動型広告の延長で行うことの限界~

 DSPやアドネットワークは2011年頃から注目をされ様々なサービスが生まれておりますが、実際の広告の中身を見てみると、リターゲティング型の広告がメインとなり、1つの企業における広告シェアの拡大は大きくは進んでいませんでした。

そんな中、2013年の大きなトピックとして、ヤフー社の提供する「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」経由でYahoo!媒体への出稿量が大幅に拡大し、その取扱高が大きく拡大したことがあげられるかと思います。

リピート通販業界でも、月間の広告予算で数千万円規模まで拡大している企業も出てきており、運用型広告の取扱高が拡大しております。

2014年も、各DSP・アドネットワークの拡大、特にYDNの拡大が進むことは間違いないように思います。
一方、検索連動型広告が中心であった運用型広告の分野では、これまでの広告形式は「テキスト広告」が中心でした。そのため、クリエイティブが重要視されるディスプレイ広告を最適化するという方向でのソリューションはまだ数が少なく、特に商品点数の少ないリピート通販ではクリエイティブが重要視されるため、「運用型広告×クリエイティブの深堀り」が1つの課題になってくるように思います。
運用型のディスプレイ広告がさらに拡大する2014年、これまで検索連動型広告の延長で行われてきた運用広告が細分化され、ディスプレイ広告特にYDNでは、クリエイティブを中心とした別のノウハウ・組織で運用することが拡大の鍵になると考えています。

■DMP ~2014年、数社の事例がようやく出現~

 2013年は、DMP(DataManagementPlatform)元年とも叫ばれ、書籍や記事で話題になったDMP。CRMが重要視されるリピート通販業界としては、CRMの強化策としての「プライベートDMP」が注目されています。

一方で、導入までの負荷や費用、また商品点数の少ないリピート通販では顧客を分析した後にその顧客に適した商品を提示することはできないという特有の事情もあり、実際の導入はそこまで進んでいない状態です。

テレマーケティングやダイレクトメールでは、特にコスト効率の改善という意味で、顧客分析が発達していきましたが、もともとコストや最低出稿額の小さいネット広告では同じようなメリットは薄いように思われます。
商品点数の少ないリピート通販企業が、どう費用対効果を合わせていくのかという部分が2014年におけるDMPの大きなテーマになるように思います。
まだ成果としての事例の少ないDMP、リピート通販業界では対象年齢や顧客規模などを加味し、化粧品大手企業で数社実績が出てくることで拡大していくのではないかと推測します。